糖尿病・内分泌内科

慢性期も急性期も専門家が連携。
医師とコメディカルスタッフが一丸となり
「患者さん中心の医療」を実践。

近森病院の大内科制について

内科

近森病院内科は、前副院長浜重直久医師が内科部長となった1988年より「内科医は、専門医である前にジェネラリスト(総合内科医)であるべき」という信念のもとバランスのとれた内科医を育成し続けています。
発足当時は、7名であった内科医も現在では58名となりました。医学の進歩により診断と治療により高度な専門性が求められる様になったため、2020年からは、より専門性を高めるため、循環器内科や消化器内科などに分かれましたが、浜重先生の信念を受け継ぎ1フロアーの医局で病棟も共有し、毎朝のミーティング、週1回の症例検討会、月1回のCPC(臨床病理検討会)など全員で集まり、内科の各診療科を統合した「大内科制」を堅持し、各診療科の医師が自由に相談して診療を行う垣根のない診療を心掛けています。

診療方針と特徴

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糖尿病は血液の中のブドウ糖(血糖)値が高くなる病気です。急激に意識障害などを伴い高血糖を発症する1型糖尿病とは異なり、遺伝的素因に加えて運動不足や過食など生活習慣が乱れて発症する2型糖尿病(糖尿病の大部分)では、ゆっくりと高血糖を発症するため通常症状はありません。従って、採血して血糖を測定しない限り糖尿病の診断には至らず、定期的な健診が重要です。
時には脳梗塞などの合併症の発症を機に糖尿病の診断に至る患者さんもいます。血糖値が高くなる糖尿病は血管を傷める病気であり、その結果、合併症を発症するのです。糖尿病治療には生活習慣の是正が必要で、服薬だけでは十分な治療はできません。糖尿病でお悩みのみなさん、不安を感じているみなさん、難しく考えず、私たちと一緒に病気と付き合っていきましょう。

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内分泌内科は、ホルモンの異常によって起こるバセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など高血圧を伴う副腎疾患、末端巨大症、クッシング病など下垂体疾患の診断・治療を担当している診療科です。
ホルモンの異常(ホルモンが多すぎる、又はホルモンが少なすぎる)によって引き起こされる内分泌・代謝疾患は、高血圧、動悸、全身倦怠感、食欲不振、髪の毛が抜ける、尿が出すぎる、足が大きくなったなど、どの診療科を受診すれば良いのか分かりにくい症状で発症します。そのため診断され難いことがありますので、上記の症状でお困りの場合は、専門医のいる当科を受診してください。

医師紹介

部長 浅羽 宏一 Koichi Asaba

Field [得意分野]

私は内分泌代謝・糖尿病の専門医をもつ主に内科全般の診療を行う総合診療医です。専門分野だけではなく、診断が付かずにお困りの患者さんや、症状はあるのに検査異常がない患者さんの診察をしています。必要があれば、専門医に紹介しています。漢方薬治療も取り入れています。

Message[患者さんへのメッセージ]

患者さんの話に良く耳を傾け、丁寧に診察することを心掛けています。尿・血液検査やレントゲン写真の異常から身体の病気を診断するだけではなく、病を心配し悩んでいる患者さんの心にも寄り添いたいと考え日々精進しています。

Qualifications[資格等]
    医師の専門性資格
    [ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
  • 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
  • 日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
  • その他資格等
  • 日本内科学会 認定医
  • 高知大学非常勤講師
  • 高知大学医学部臨床教授
  • 岡山大学非常勤講師
  • 岡山大学臨床教授
  • 愛媛大学非常勤講師
  • 熊本大学非常勤講師
  • 高知学園短期大学非常勤講師

公文 義雄 Yoshitaka Kumon (リウマチ・膠原病内科部長)

Field [得意分野]

糖尿病を中心とした内分泌・代謝疾患や、リウマチ疾患や膠原病などの難病を対象の診療領域にしています。当該領域の診断や治療など広い分野にわたっての診療を自負しています。

Message[患者さんへのメッセージ]

「明けない夜はない」
生活習慣病の合併症や難病の診断や治療で悩んでおられる皆様、治療薬は次々開発されており、日進月歩で治療は進んでいます。関節リウマチは治る時代になりました。どうか思い切って、扉を開けてください。きっと良い治療が見つかりますよ。

Qualifications[資格等]
    医師の専門性資格
    [ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医・研修指導医
  • 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
  • 日本内科学会 指導医
  • その他資格等
  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本動脈硬化学会 認定指導医
  • 日本リウマチ財団 登録医
  • 医学博士(高知医科大学(現高知大学)-1988年)

中山 修一 Shuichi Nakayama (リウマチ・膠原病内科兼任) (総合内科部長)

Field [得意分野]

関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病、甲状腺を含めた内分泌疾患、糖尿病を専門に診療しています。総合内科医として適切な診断を行った上で、適切な治療が提供できる様、他科との連携も図っています。

Message[患者さんへのメッセージ]

高知生まれ高知育ちの内科医です。甲状腺やホルモンの病気、糖尿病、リウマチ性の病気を専門に診ています。患者さん一人ひとりに応じた、全人的な医療の提供ができるよう、頑張りたいと思っています。まずはお気軽にご相談ください。

Qualifications[資格等]
    医師の専門性資格
    [ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
  • 日本内分泌学会 内分泌代謝(内科)専門医・内分泌代謝科指導医
  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
その他資格等
  • 日本内科学会 認定内科医
  • 医学博士(高知大学-2011年)
  • 高知大学医学部臨床准教授
  • 非常勤近澤 宏明 Hiroaki Chikazawa (リウマチ・膠原病内科兼任)

    Field[得意分野]

    内科全般の診療に加え、関節リウマチやその他の膠原病・糖尿病を専門とし診療を行っています。

    Message[患者さんへのメッセージ]

    毎週水曜日に診療を行っています。近森病院での診療を通じ、高知県の地域医療に貢献していきたいと考えています。

    Qualifications[資格等]
      医師の専門性資格
      [ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
    • 日本内科学会 総合内科専門医
    • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
    • 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
    • その他資格等
    • 医学博士(高知医科大学(現高知大学)-2001年)

    非常勤吉村 江理 Eri Yoshimura

    Field[得意分野]

    プライマリケア医として病気や検査数値だけでなく、患者さん各々の生活や人生観に耳を傾け、不安や希望に寄り添える診療を心がけています。

    Message[患者さんへのメッセージ]

    高知学芸高校出身、高知大学医学部卒業。高知から出たことがありません。高知市内の診療所で地域のかかりつけ医として勤務してきました。医師の出発点であった近森病院で糖尿病中心とした診療を週1日させていただいています。

    Qualifications[資格等]
      その他資格等
    • 日本プライマリケア連合学会 認定医
    • 認知症サポート医
    • 高知大学医学部臨床教授

    主な疾患と治療方法

    糖尿病内科

    糖尿病

    自分が糖尿病であることを知らない方もいらっしゃいますが、持続性の高血糖(血液中のブドウ糖が高値)が糖尿病とされておりますので、初期の方は通常無症状です。糖尿病は血管を傷める病気であり、高血糖が持続すると足のしびれなどの神経症、視力障害の網膜症、蛋白尿の腎症などが出てきますし、動脈硬化症の進行とともに心筋梗塞や脳梗塞、足病変などの末梢動脈疾患などの合併症が出てきます。
    検査
    どの程度の血糖値か、原因であるインスリンの不足の程度はどの程度かを血液や尿で調べます。合併症の評価も現在はほぼ非侵襲的(体を傷つけないよう)に検査できますのでご心配はいりません。
    治療
    治療法は①血糖値を下げること、②動脈硬化の発症予防、③合併した臓器障害への治療、の三つです。①血糖の是正には食事と運動が基本です。良い薬物が次々と開発されておりますが、食事と運動の努力をせずして良いコントロールは得られません。低血糖を起こさず、良いコントロールを目指しましょう。②主に血圧、脂質のコントロールが重要です。良い薬がでておりますので早期からの対応が可能でご心配はいりません。③当院ではそれぞれ専門家が対応しています。

    内分泌内科

    甲状腺疾患

    バセドウ病

    甲状腺ホルモンが多過ぎて起こる病気です。症状は体重減少、動悸、汗が出すぎる、イライラする、すぐにお腹が空くなどです。
    検査
    血液検査と甲状腺エコー検査を行います。
    治療
    甲状腺ホルモンを下げるお薬を使用します。ホルモン値が正常になっても2〜3年は服薬することが必要です。再発することが多いので、服薬終了後も定期的な診察が必要な場合もあります。薬が効きにくい場合や長期の服薬治療が必要な場合は放射線療法を行います。

    橋本病

    甲状腺ホルモンが少なすぎて起こる病気です。症状は全身倦怠感、寒がりになった、身体が腫れぼったくなったなどです。
    検査
    血液検査と甲状腺エコー検査を行います。
    治療
    足りなくなった甲状腺ホルモンを補います。服薬は一生続けます。

    副腎疾患

    原発性アルドステロン症

    副腎皮質ホルモンが多くなり過ぎ血圧が高くなる病気です。高血圧の患者さんの10人に1人いるといわれるほど比較的多くみられます。副腎にできる良性腫瘍が原因であることが多く、手術で高血圧が治ることが期待されます。高血圧と言われたら一度はホルモン検査をした方が良いでしょう。無症状のことが多いですが、高血圧による頭痛などを訴えることがあります。
    検査
    血液検査、腹部CT検査などを行います。
    治療
    副腎腫瘍を摘出する手術を行います。

    褐色細胞腫

    副腎髄質ホルモンが多くなり過ぎ血圧が高くなる病気です。副腎にできる良性腫瘍が原因であることが多く、手術で高血圧が治ることが期待されます。高血圧と言われたら一度はホルモン検査をした方が良いでしょう。症状としては、発作性の頭痛や動悸があります。
    検査
    血液検査、腹部CT検査などを行います。
    治療
    副腎腫瘍を摘出する手術を行います。

    下垂体疾患

    末端巨大症

    下垂体ホルモンの一つである成長ホルモンが多くなり過ぎて起こる病気です。下垂体にできる良性腫瘍が原因です。症状としては手足や顎などが大きくなります。腫瘍が大きくなると腫瘍が視神経を圧迫して目が見え難くなります。
    検査
    血液検査、頭部MRIなどを行います。
    治療
    下垂体腫瘍を摘出する手術を行いますが、腫瘍の場所が目の奥にあたる脳中央部にあるため手術で腫瘍を取りきれない場合があります。その場合は注射や放射線照射で腫瘍を小さくします。

    クッシング病

    下垂体ホルモンの一つである副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が多くなり過ぎて起こる病気です。下垂体にできる良性腫瘍が原因です。顔が満月の様に丸くなる、お腹だけ太り手足が細くなるなどの症状があります。難治性糖尿病を合併します。
    検査
    血液検査、頭部MRIなどを行います。
    治療
    下垂体腫瘍を摘出する手術を行いますが、腫瘍の場所が目の奥にあたる脳中央部にあるため手術で腫瘍を取りきれない場合があります。その場合は注射や放射線照射で腫瘍を小さくします。

    プロラクチン産生下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)

    下垂体ホルモンの一つであるプロラクチンが多くなり過ぎて起こる病気です。下垂体にできる良性腫瘍が原因です。症状としては乳汁分泌があります。腫瘍が大きくなると腫瘍が視神経を圧迫して、目が見え難くなります。
    検査
    血液検査、頭部MRIなどを行います。
    治療
    下垂体腫瘍を摘出する手術を行いますが、腫瘍の場所が目の奥にあたる脳中央部にあるため手術で腫瘍を取りきれない場合があります。その場合は注射や放射線照射で腫瘍を小さくします。

    下垂体前葉ホルモン低下症

    下垂体腫瘍などにより下垂体前葉ホルモンが少なくなり、元気がなくなる病気です。症状は全身倦怠感、食欲不振、髪の毛が抜ける、性欲がなくなるなどです。
    検査
    血液検査と頭部MRIなどを行います。
    治療
    少なくなったホルモンをお薬で補充します。副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモン、女性ホルモンは内服薬で。成長ホルモン、男性ホルモンは注射で補充します。

    尿崩症

    下垂体腫瘍などにより下垂体後葉ホルモンが少なくなり尿がたくさん出る病気です。口渇、多飲多尿の症状があります。冷水を好み、1日4リットルの尿が出ることもあり、夜間のトイレ回数が多くなります。
    検査
    血液検査と頭部MRIなどを行います。
    治療
    少なくなったホルモンをお薬で補充します。

    新たな取り組み

    糖尿病内科

    重症低血糖予防に向けての啓発活動
    救急病院である当院には重症低血糖患者が搬入されますが、2016年以降当院への搬入患者は減少傾向にあり、関連の先生方の啓発活動の賜物と考えます。また、処方受付薬局のご協力を得ながら、低血糖が懸念される処方は減少しつつあります。2型糖尿病患者では重症低血糖の撲滅は可能と考えられますので、この活動は継続していきたいです。
    病棟薬剤師が中心となった周術期血糖コントロールの取り組み
    次々搬入され手術が求められる糖尿病併発患者に対して、病棟薬剤師が中心となり、看護師、栄養士、PT、医師が参加して周術期血糖コントロールチーム(PBSCT)を形成して血糖コントロールの改善に努めています。PBSCTにより感染症はより少なく安全になり、入院期間の短縮にも貢献できています。
    1型糖尿病支援プログラム
    頻度は高くありませんが、低血糖による交通外傷を機に搬入された患者さんや、劇症1型糖尿病として発症された1型糖尿病患者さんに対応しています。1型糖尿病に習熟したコメディカルスタッフが食事の意味、インスリン治療のコツを教えており、患者さんの早期の自立に貢献しています。

    診療実績

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