リウマチ・膠原病内科
内科全体で連携を取り合い、
患者さんの病状に応じて、
柔軟かつ迅速に診療します。
近森病院の大内科制について
近森病院内科は、前副院長浜重直久医師が内科部長となった1988年より「内科医は、専門医である前にジェネラリスト(総合内科医)であるべき」という信念のもとバランスのとれた内科医を育成し続けています。
発足当時は、7名であった内科医も現在では58名となりました。医学の進歩により診断と治療により高度な専門性が求められる様になったため、2020年からは、より専門性を高めるため、循環器内科や消化器内科などに分かれましたが、浜重先生の信念を受け継ぎ1フロアーの医局で病棟も共有し、毎朝のミーティング、週1回の症例検討会、月1回のCPC(臨床病理検討会)など全員で集まり、内科の各診療科を統合した「大内科制」を堅持し、各診療科の医師が自由に相談して診療を行う垣根のない診療を心掛けています。
診療方針と特徴
当科では関節リウマチや脊椎関節炎をはじめとする関節炎の診療に加え、多発性筋炎/皮膚筋炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、全身性血管炎といったあらゆるリウマチ・膠原病疾患の診断・治療を行っています。患者さんの病状に応じて、外来診療と入院診療のどちらかを柔軟かつ迅速にご案内いたします。
部長の公文医師は中四国でも有数のリウマチ・膠原病内科医であり、関節炎全般に精通しています。吉田医師は神経内科とリウマチ・膠原病の両方の専門資格を生かして、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群の神経合併症、多発性筋炎/皮膚筋炎、血管炎性ニューロパチーの診療において高い専門性を持っています。
膠原病は全身疾患であることから専門性はもちろん、他診療科との連携が極めて重要です。近森病院は大内科制の利点を最大限に活用し、内科全体で患者さんに高い水準の医療を提供することをお約束します。
医師紹介
部長 公文 義雄 Yoshitaka Kumon (糖尿病・内分泌内科兼任)
Field [得意分野]
糖尿病を中心とした内分泌・代謝疾患や、リウマチ疾患や膠原病などの難病を対象の診療領域にしています。当該領域の診断や治療など広い分野にわたっての診療を自負しています。
Message[患者さんへのメッセージ]
「明けない夜はない」
生活習慣病の合併症や難病の診断や治療で悩んでおられる皆様、治療薬は次々開発されており、日進月歩で治療は進んでいます。関節リウマチは治る時代になりました。どうか思い切って、扉を開けてください。きっと良い治療が見つかりますよ。
Qualifications[資格等]
-
医師の専門性資格
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医・研修指導医
- 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
- 日本内科学会 指導医 その他資格等
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本動脈硬化学会 認定指導医
- 日本リウマチ財団 登録医
- 医学博士(高知医科大学(現高知大学)-1988年)
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
科長 吉田 剛 Takeshi Yoshida (脳神経内科兼任)
Field [得意分野]
リウマチ膠原病内科、脳神経内科。
特に、自己免疫性神経疾患と膠原病の神経筋合併症の診療を最も得意としています。
Message[患者さんへのメッセージ]
微力ながら高知県の医療の発展に尽力いたしますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
Qualifications[資格等]
-
医師の専門性資格
- 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
- 日本リウマチ学会 専門医
- 日本神経学会 神経内科専門医 その他資格等
- 日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
- 日本臨床神経生理学会 専門医(筋電図・神経伝導)
- 日本内科学会 認定内科医
- 臨床研修指導医
- ECFMG Certificate
- 医学博士(徳島大学-2021年)
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
中山 修一 Shuichi Nakayama (糖尿病・内分泌内科兼任) (総合内科部長)
Field [得意分野]
関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病、甲状腺を含めた内分泌疾患、糖尿病を専門に診療しています。総合内科医として適切な診断を行った上で、適切な治療が提供できる様、他科との連携も図っています。
Message[患者さんへのメッセージ]
高知生まれ高知育ちの内科医です。甲状腺やホルモンの病気、糖尿病、リウマチ性の病気を専門に診ています。患者さん一人ひとりに応じた、全人的な医療の提供ができるよう、頑張りたいと思っています。まずはお気軽にご相談ください。
Qualifications[資格等]
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医師の専門性資格
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医
- 日本内分泌学会 内分泌代謝(内科)専門医・内分泌代謝科指導医
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
非常勤近澤 宏明 Hiroaki Chikazawa (糖尿病・内分泌内科兼任)
Field[得意分野]
内科全般の診療に加え、関節リウマチやその他の膠原病・糖尿病を専門とし診療を行っています。
Message[患者さんへのメッセージ]
毎週水曜日に診療を行っています。近森病院での診療を通じ、高知県の地域医療に貢献していきたいと考えています。
Qualifications[資格等]
-
医師の専門性資格
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医
- 日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医 その他資格等
- 医学博士(高知医科大学(現高知大学)-2001年)
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
主な疾患と治療方法
関節リウマチ
両手指やそのほかの関節の痛みと腫れ、朝のこわばりを生じます。検査
血液・尿検査、関節のレントゲン、エコー検査、必要に応じてより詳しい検査を行います。治療
関節リウマチの治療薬は多くの種類がありますが、患者さんの病状に応じてより適切な薬剤を提案させていただきます。脊椎関節炎
慢性の腰痛や背部痛を自覚し、夜間就寝時から朝にかけて悪化し、こわばりを伴います。手足の関節や関節の近傍(腱付着部)にも痛みを生じます。皮膚・眼・腸管などにも症状を伴うことがあります。検査
血液・尿検査、関節のレントゲン、エコー検査、必要に応じてより詳しい検査を行います。治療
脊椎関節炎の治療薬は多くの種類がありますが、患者さんの病状に応じてより適切な薬剤を提案させていただきます。全身性エリテマトーデス
発熱、筋肉痛・全身倦怠感に加えて、顔面や四肢の皮疹、口内炎、関節炎、腎炎(蛋白尿・血尿)といった多彩な症状を生じます。血液検査で白血球や血小板の減少、貧血、血液が固まりやすい体質などを認めることがあります。様々な脳神経症状を伴うことがありますが、当科では迅速に専門的な評価が可能です。検査
血液・尿検査、関節のレントゲン、エコー検査、必要に応じてより詳しい検査を行います。治療
全身性エリテマトーデスの治療薬は多くの種類がありますが、患者さんの病状に応じて、また、近年国内外で改訂の動きのある最新のガイドラインを踏まえて、より適切な薬剤を提案させていただきます。シェーグレン症候群
眼や口の乾燥症状が主体です。その他に唾液腺(耳の下、あごの下)やリンパ節の腫れ、関節炎、皮疹、間質性肺炎(咳、痰、息切れ)、神経症状(痛み・しびれ、ふらつき・めまいなど)を伴うことがあります。検査
血液・尿検査、唾液分泌・涙液分泌の測定、関節のレントゲン、エコー検査、必要に応じてより詳しい検査を行います。治療
病状に応じて対症療法をお勧めする場合と、有効性が期待できる場合は免疫抑制療法をお勧めする場合があります。詳しくは担当医にご相談ください。多発性筋炎/皮膚筋炎
四肢の筋力低下(力が入りにくい、だるくなる)、皮疹(顔面や手指)が主な症状です。皮疹を伴う場合は皮膚筋炎と診断されます。一部のケースは間質性肺炎という肺炎を合併し、進行が速い場合があり、速やかな専門治療が必要です。検査
血液・尿検査、針筋電図、筋の画像検査、CT検査などを行います。当科は高い水準の検査が迅速に可能です。国内の専門施設と共同で筋病理検査、先進的な自己抗体検査なども行っています。治療
速やかに強度の高い治療が必要となる場合が多いため、疑われた場合は原則入院して専門的な検査を行います。検査の後、速やかに免疫抑制薬等による治療を開始します。全身性血管炎
発熱や下肢の皮疹(点状出血)、筋肉痛、関節痛などに加え、様々な臓器症状(腎炎、肺炎、神経炎)を生じます。それ以外にも全身の諸臓器に多彩な症状を呈します。原因不明の発熱が続く場合は一度ご相談ください。検査
血液・尿検査に加えて、合併する臓器障害に応じて専門的な検査を迅速に行う体制をとっています。治療
緊急性の高い疾患が多いため、原則入院のうえで精査・治療を行います。詳細は担当医にご相談ください。新たな取り組み
関節リウマチに合併するサルコペニアの超音波検査による診断
関節リウマチはサルコペニアのハイリスクであることが知られており、早期発見と治療の必要性が課題として挙げられています。我々はリウマチ医が日常臨床で汎用している超音波を用いて、高い精度でサルコペニアの診断が可能であることを報告しました(Yoshida T, et al. Mod Rheumatol. In Press.)。現在、関節リウマチ症例におけるサルコペニアの診断と治療について近森病院、高知大学医学部附属病院、海里マリン病院の3施設での前向き観察研究が進んでおります。
末梢神経障害の新しいMRI、超音波画像診断
当科では数多くのリウマチ性疾患に合併する神経筋障害の症例の経験があります。中でもシェーグレン症候群は神経合併症を頻繁に生じ、神経内科的な評価が極めて重要です。我々は、シェーグレン症候群に関連した後根神経節障害の新しいMRI画像診断について臨床応用を行っています(Yoshida T, et al. Eur J Neurol. 2018 Jul;25(7):e78-e79.)。
シェーグレン症候群に合併する有痛性ニューロパチーの神経超音波による診断と皮膚生検による表皮内神経線維密度との相関を発表しました(Yoshida T, et al. Mod Rheumatol. 2021 Jul;31(4):849-855.)。
多発性筋炎/皮膚筋炎の共同診療と学術発表
多発性筋炎/皮膚筋炎において、国立精神・神経医療研究センター筋病理部をはじめとする国内の専門施設と共同で高い水準の診療を行っています。また、国内外の学会での学術発表・論文執筆を行っています。また、筋炎の画像所見と筋病理の関連、治療による画像的改善について、近森病院、徳島大学病院、高知大学医学部附属病院、国立精神・神経医療研究センターの4施設で多施設前向き研究が進行中です。
頚椎症の新しいMRI診断
頚椎症性神経根症は椎間孔という骨に囲まれた狭い空間で生じるため、MRIでの評価がしばしば困難ですが、我々は単一髄節支配筋である多裂筋に着目し、この筋の脱神経に伴う浮腫(denervation edema)を同定することが頚椎症性神経根症の診断に有用であることを報告しました(Yoshida, et al. Muscle Nerve. 2021 Mar;63(3):365-370.)。
リウマチ性疾患と脳卒中のアウトカムの関連
関節リウマチ、SLEをはじめとするリウマチ性疾患は脳卒中の高リスクであることが知られておりますが、リウマチ性疾患が脳梗塞の重症度とアウトカムに与える影響は不明な点が多いです。近森病院と広島大学病院のリウマチ・膠原病内科、脳神経内科が共同で多施設前向き研究を進行中です。
臨床治験
リウマチ・膠原病内科の領域は多くの新薬が登場しており、当科でも複数の臨床治験を行っています。詳細は担当医にご確認ください。