呼吸器内科
呼吸器疾患全般にわたり
日々研鑽を積んだ質の高い診療と
きめ細やかなチーム力を発揮
近森病院の大内科制について
近森病院内科は、前副院長浜重直久医師が内科部長となった1988年より「内科医は、専門医である前にジェネラリスト(総合内科医)であるべき」という信念のもとバランスのとれた内科医を育成し続けています。
発足当時は、7名であった内科医も現在では58名となりました。医学の進歩により診断と治療により高度な専門性が求められる様になったため、2020年からは、より専門性を高めるため、循環器内科や消化器内科などに分かれましたが、浜重先生の信念を受け継ぎ1フロアーの医局で病棟も共有し、毎朝のミーティング、週1回の症例検討会、月1回のCPC(臨床病理検討会)など全員で集まり、内科の各診療科を統合した「大内科制」を堅持し、各診療科の医師が自由に相談して診療を行う垣根のない診療を心掛けています。
診療方針と特徴
「呼吸器」は、感染症・アレルギー・がん・自己免疫性疾患など扱う疾患が多岐にわたる領域です。当科では広い領域の呼吸器疾患全般にわたり、質の高い診療を提供できるよう日々研鑽を積んでいます。
特に、内視鏡と呼吸管理に関しては、診断治療機器の導入や治療管理チーム作りを早くから積極的に取り組んできました。その結果、内視鏡診断は全国的にみても高い診断率を得ており、呼吸管理については全国に先駆けて多職種からなる「呼吸管理チーム」を立ち上げ、きめ細やかな管理体制を作り上げています。
医師紹介
部長 中岡 大士 Hiroshi Nakaoka
Field [得意分野]
とまらない咳、肺炎、喘息、たばこ関連疾患(肺気腫)、肺癌など頻度の高い呼吸器疾患を中心に診療しています。胸部異常陰影に対し気管支鏡(肺カメラ)による精密検査を得意とします。感染症診療、特に結核や非結核性抗酸菌症の診療に従事し、呼吸不全に対する在宅酸素療法、人工呼吸管理、高齢者における肺炎診療の経験も豊富です。
Message[患者さんへのメッセージ]
さまざまな病気に対する検査や治療が進歩している反面、情報が複雑で混乱し、考え方がわかりにくいことも多くなっています。また、高齢化社会における肺炎の治療の進め方は個人に適した診療が大事です。専門医の立場からわかりやすい説明を心がけて質の高い診療を提供したいと思います。
Qualifications[資格等]
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医師の専門性資格
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
- 日本内科学会 指導医 その他資格等
- 日本内科学会 認定内科医
- 熱帯医学修士号(英国リバプール大学-2005年)
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
石田 正之 Masayuki Ishida (感染症内科部長)
Field [得意分野]
呼吸器、感染症の全般の診療を行っています。特に呼吸器分野では、呼吸器感染症、内視鏡診断・治療、急性期呼吸管理を、感染症分野では、細菌感染症、輸入感染症(マラリア、デング熱)、蚊媒介感染症(デング熱、SFTSなど)、寄生虫感染症を得意としています。
Message[患者さんへのメッセージ]
呼吸器(肺)、感染症全般に対応させていただいています。肺のこと、感染症のことでご相談があれば気軽にご相談ください。
Qualifications[資格等]
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医師の専門性資格
- 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
- 日本感染症学会 感染症専門医・指導医
- 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医・指導医 その他資格等
- 日本感染症学会 評議員
- 日本化学療法学会 抗菌化学療法指導医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- Infection Control Doctor
- 厚生労働省臨床研修指導医
- 医学博士(長崎大学-2012年)
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
馬場 咲歩 Sakiho Baba
Field[得意分野]
まだ、得意分野といえる分野はありませんが、呼吸器・感染症から内科全般、重症疾患の管理まで、勉強して頼られる医師になりたいと思います。
Message[患者さんへのメッセージ]
自分が、もしくは家族や大切な方が病気になるというのは、すごくショックなことかと思います。その中でなるべくわかりやすく病気のことをお伝えし、皆さまにとってよりよい道を一緒に模索していけるよう、頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
藤原 絵理 Eri Fujiwara(国内留学中)
Field[得意分野]
呼吸器内科を勉強中です。
Message[患者さんへのメッセージ]
患者さんに寄りそった医療を提供できるよう目指します。
主な疾患と治療方法
気管支喘息
喘息(ぜんそく)とは、空気の通り道である「気道」にアレルギーなどが原因となって、慢性的な炎症をおこし、気道が狭窄しやすくなる病気です。風邪など様々なきっかけで気道が狭くなり、息苦しさや「ひゅーひゅー」という喘鳴(ぜんめい)が出現します。この状態を喘息発作(ぜんそくほっさ)と呼び、発作の程度がひどくなると呼吸ができないために、大変危険な状態になることがあります。
検査
採血によるアレルギー検査、喀痰好酸球検査、気道可逆性検査、肺機能検査、呼気NO検査、胸部画像検査(レントゲン・CT)治療
発作時の治療/気道を広げる作用のある薬の吸入や点滴、炎症を抑える飲み薬や点滴、呼吸の状態が悪いときは酸素療法や人工呼吸器による呼吸の補助を行う場合もあります。発作予防の治療/喘息治療の中心となります。長い時間効果が持続する、気道拡張の薬剤や炎症を抑える薬の吸入薬、アレルギーを抑える飲み薬などで治療を行います。また、発作の原因となるアレルギーの除去・回避の指導、アレルギーを起こしにくい体に変えていくアレルギー免疫療法などもあります。
重症の喘息の場合は、喘息の増悪に関わる体内物質・IgEやIL-5の作用を抑制する生物学的製剤や、内視鏡で気道を温めることで治療を行う気管支サーモプラスティといった治療も行います。
気胸
肺の一部が何らかの理由で破れ、そこから空気が漏れて胸の中に逃げ場のない空気が溜まり、肺が縮む病気です。突然に起こる胸痛や呼吸困難が特徴的な症状です。検査
胸レントゲン、胸部CT治療
軽い場合は注射器で胸に貯まった空気を抜いたり、皮膚を少し切って胸の中に管を入れ、簡単な機械を使って持続的に空気を抜くといった治療を行います。多くの場合はこれらの治療で改善しますが、その後に再発をすることも少なくありません。再発した場合や、上記の治療でも漏れが止まらない場合は、手術を行うことがあります。また、最近では、もともと何らかの肺の病気を持った高齢者の気胸も増加していますが、手術を行うことが難しい場合もあります。このような場合は、薬を使って穴が開いている部分を塞ぐ「胸膜癒着術」や、穴が開いている部位の根元の気管支に詰め物をして空気の漏れを止める「気管支充填術」など行う場合があります。
肺がん
肺から発生する悪性腫瘍(がん)で、現在日本人のがんの死因の1位となっています。通常早期では症状が出ることが少ないため、早期発見が難しい病気です。がんができた場所や病状によって、血痰や胸痛、呼吸困難、顔のむくみなどの症状が出ることがあります。検査
喀痰の細胞を診る検査(細胞診)、気管支内視鏡検査、CTガイド下肺生検、胸腔鏡下肺生検、各種画像検査(胸腹部CT、頭部MRI、骨シンチグラフィー、PET/CT)など治療
主な治療としては外科療法(手術)、放射線療法、化学療法(薬)による治療があります。がんの進行度により、それぞれの治療を単独、もしくは組み合わせます。内科では主に薬による治療を主に行います。薬による治療は、近年めざましい進歩を遂げており、殺細胞性の抗がん剤(いわゆる昔からある抗がん剤)だけでなく、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬といった新たな作用機序をもつ薬での治療も行われています。
新たな取り組み
重症喘息に対する気管支サーモプラスティ
喘息は呼吸器疾患のなかでも有病率が高い疾患で、日本で喘息症状を持つ人口は数百万人と推定され、通院患者数は100万人程度存在します。現在のところ喘息を根治させる治療法はなく、その症状に応じて複数の喘息薬を組み合わせ、用量を加減して喘息症状をコントロールする薬物治療が主となっています。
しかし、薬物治療では喘息症状をコントロールできない重症度の高い患者さんには有効な治療方法がなく、喘息発作の不安を抱え、日常生活も大きく制限されています。
そのような中、重症喘息に対する新しい治療法である「気管支サーモプラスティ療法」が生まれました。この治療法は気管支鏡下に行う処置で、気管支鏡に細いバスケット型の電極カテーテルを挿入し、気管支壁を10秒毎に位置をずらしながら約65度に加熱を行います。これにより喘息の気管支収縮の要因とされる肥厚した気道平滑筋の量を減少させて、気道の反応性を抑制し、喘息症状を緩和します。本治療は現在国内では100施設程で実施されていますが、当施設は全国で45施設目、中四国で7施設目、四国では2施設目に治療を開始しました。
舌下免疫療法
アレルギーの原因物質(アレルゲン)を含むエキスを舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることで、スギ花粉やダニのアレルギー反応を弱めていく治療法です。この治療が長期にわたり正しく行われると、アレルギー症状が治癒する、もしくは長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。また、症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬を減らすことが期待できます。
こうした治療法は、これまで注射によるものが主でしたが「週に何回も通院が必要」「痛い注射をしなくてはならない」など、患者さんにとって大きな負担になっていました。舌下免疫療法は「痛みなく」「自宅で」服用できるなど、負担が少なく治療ができるメリットがあります。
以下のような方には特にお勧めします。
◎毎年スギ花粉症、またはダニアレルギーでお悩みの方
◎数年以内に妊娠の希望の方、或いは、具体的な予定はないが将来妊娠した際に薬が使えないのが不安な方
◎将来受験を迎える時期にスギ花粉症、またはダニアレルギーが心配な学生の方