診療方針と特徴
当科は2016年2月に発足しました。当院には多数の内科患者さんが、また、ERには多数の緊急の患者さんが来院されています。
そのなかには血液癌、自己免疫疾患、凝固因子欠乏症など様々な血液疾患が隠れています。血液疾患は進行が速いものが多いため、早急に診断し、治療を開始する必要がありますが、県内には血液内科の専門医が少なく、これまでは基幹病院に患者さんを紹介し、診断から治療までを委ねる必要がありました。しかしながら、基幹病院は満床である場合が多く、紹介までに時間を要することが多々あったようです。当科が開設して以来、当院での早期診断・治療が可能となりました。
主な疾患と治療方法
赤血球数、白血球数、血小板数の異常を指摘された場合、まずは造血の場である骨髄に異常がないかどうか、骨髄穿刺にて調べます。うつぶせになり、腸骨の一部に局所麻酔を施し、そこから骨髄穿刺針にて骨の中にある骨髄液を数cc採取します。通常15分程で終了しますが、施行後止血のために30分~1時間程仰向けで安静を保つ必要があります。この検査は外来で行うことができ、終了後は帰宅し、通常の生活が可能です。
急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫といった血液癌に対する治療法としては、通常化学療法が行われます。65歳未満の若い患者さんの場合、治癒あるいは長期生存を目標に、強力な化学療法や骨髄移植などが適応になるため、高知大学医学部附属病院や高知医療センターにご紹介します。しかし、実際には血液癌は高齢での発症が多く、治癒を目指す強力な治療は副作用や合併症で命を落としたり、寝たきりになるなどのマイナス要素が強くなります。そのため当科では、患者さんの病態に応じた無理のない治療で、できる限り生活の質を保てる治療を行うよう心がけています。