泌尿器科
体への影響が少ない治療を提案
尿路結石症、悪性腫瘍、外傷など
救急患者にも迅速に対応します
診療方針と特徴
当科は常勤医師3名と非常勤医師3名で診療を行っています。ER(救命救急センター)を持つ病院として、尿路結石症などの救急患者が多いのが最大の特徴です。
救急疾患以外にも、良性あるいは悪性腫瘍疾患に対して、外科的治療、抗癌化学療法、免疫療法などを、単独もしくは組み合わせて治療を行っています。標準的あるいは高度な開腹術ももちろんですが、特に低侵襲治療(患者さんの体への影響が少ない治療)として腹腔鏡手術を積極的に行います。
また、日本泌尿器科学会専門医教育施設であり、医学部学生の臨床実習や初期〜後期研修医の研修ができる診療体制も整えています。
医師紹介
部長 佐竹 宏文 Hirofumi Satake
Field [得意分野]
良性から悪性まで泌尿器科全般の疾患に対応できます。特に腎癌、膀胱癌、前立腺癌、尿膜管遺残症、腎盂尿管移行部狭窄症、精索静脈瘤に対する腹腔鏡手術を得意としています。
Message[患者さんへのメッセージ]
高知学芸高校出身の高知県人です。平成24年に呉医療センター中国がんセンター泌尿器科で腹腔鏡手術の修練を受けたことが転機となり、その後高知大学泌尿器科、国立病院機構高知病院泌尿器科で腹腔鏡手術の執刀・指導を行ってまいりました。当施設ではロボット支援下手術を導入しておりませんが、可能な限り低侵襲治療を行うことを心がけておりますので、腹腔鏡手術のご希望がありましたら気軽にご相談ください。
Qualifications[資格等]
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医師の専門性資格
- 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・指導医 その他資格等
- 医学博士(高知大学-2010年)
- 日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
- 日本内視鏡外科学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
- ロボット支援腹腔鏡下手術技術認定医
- 緩和ケア研修会修了医師
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
芝 佑平 Yuhei Shiba
Field[得意分野]
悪性疾患に加えて、良性疾患(結石、排尿障害、尿路感染症など)と幅広く泌尿器科の疾患を対応しています。
Message[患者さんへのメッセージ]
高知追手前高校が出身となります。四万十町で生まれ育ちました。2022年4月から赴任となり、泌尿器科の先生方と共に診療を行っていきます。
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医師の専門性資格
- 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
藏野 吉隆 Yoshitaka Kurano
Field[得意分野]
泌尿器科一般
Message[患者さんへのメッセージ]
2022年度に非常勤として週1回勤めさせて頂いておりましたが、この度常勤として赴任となりました。若輩ではありますが、精一杯・真摯に診療に当たりたいと思います。
非常勤 亀井 麻依子 Maiko Kamei
Field[得意分野]
女性泌尿器疾患を中心に診療を行っています。
過活動膀胱、腹圧性尿失禁、間質性膀胱炎、骨盤臓器脱、夜間頻尿など。
Message[患者さんへのメッセージ]
男性医師には相談しにくい排尿の悩みについてご相談ください。頻尿や尿失禁を中心に診療しています。骨盤臓器脱については診断を行っており、他院と連携し手術紹介をさせていただきます。血尿など一般泌尿器疾患も診察しています。
Qualifications[資格等]
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医師の専門性資格
- 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医 その他資格等
- 医療法人亀井クリニック 院長
[ 厚生労働省医政総発0124第1号通知に準ずるもの、および日本専門医機構認定の資格等 ]
非常勤 濵田 裕晟 Yusei Hamada
Field[得意分野]
泌尿器科疾患全般を診療させていただきます。
Message[患者さんへのメッセージ]
高知大学医学部泌尿器科より週に一度、非常勤で勤務させていただいております。些細な事でも構いませんので、お困りの事や気になることなどございましたらお気軽にお声がけください。
非常勤 島﨑 将 Sho Shimasaki
Field[得意分野]
泌尿器科疾患全般を診療させていただきます。
Message[患者さんへのメッセージ]
高知大学医学部附属病院の泌尿器科より週に一度、非常勤で勤務させていただいております。お困りのことや気になることがありましたら、なんでもお気軽にお尋ねください。
主な疾患と治療方法
尿路結石
当院は救急病院ということで、腎結石、尿管結石など尿路結石による痛みや発熱で受診もしくは救急搬送される場合が多く、尿路結石に対する治療症例が県内でも非常に多い施設です。
治療
自然に排石しない腎尿管結石に対しては軟性尿管鏡を用いたレーザー砕石術(f- TUL:flexible TransUrethral Lithotripsy )や腎盂鏡を用いた経皮的腎砕石術 (PNL:Percutaneous Nephrolithotripsy)、さらにはf-TULとPNL を組み合わせたECIRS(Endoscopic Combined IntraRenal Surgery)も積極的に行っ ています。
結石の大きさ 15mm未満
経尿道的尿管砕石術(TUL)
内視鏡を用いて尿道、膀胱から逆行性に腎内および尿管内の結石にアプローチし、レーザーを用いて結石を破砕。全身麻酔で行いますが、比較的安全で治療効果が高く、10mm以上であればESWL(体外衝撃波結石破砕術)より効果は良好です。
結石の大きさ 15mm以上
経皮的腎砕石術PNLもしくはTULとPNLを同時に行う経皮・経尿道同時内視鏡手術ECIRSを行います。このECIRSという方法は、PNL単独治療で困難な症例に対してTULを組み合わせ行い、出血のリスクを軽減し、破砕および抽石の効率が非常に良い利点があります。
経皮的腎砕石術(PNL)
経皮的に背中より直接腎内に内視鏡を挿入し結石破砕を行うので、TULに比べて侵襲的ですが、サンゴ状結石など治療に難渋する手技に効果的です。
高出力 レーザーシステムLumenis®Purse™120H
当院ではOLYMPUS URF-V3とURF-P7という最新の細径の腎盂尿管ファイバーを導入し、また破砕に使用するレーザーとしては、MOSES™テクノロジーを搭載した高出力レーザーシステムLumenis®Purse™120Hを使用し、大きな結石を良好な視野のもと、効率的に破砕することが可能になりました。
新たな取り組み
膀胱癌に対する内視鏡治療
表在性(筋層非浸潤性)膀胱癌
膀胱癌全体の約7割は、表在性膀胱癌といわれるタイプです。癌が膀胱の筋層に達していないので、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)という内視鏡を使った方法で切除可能です。手術時間は1時間程度で約5日前後の入院が必要です。しかし2~5年間に約6~7割の人が再発しますので、我々の施設では、腫瘍を発光させる蛍光膀胱鏡を使用した光力学診断補助下TUR-Btを行い、診断能力、治療効率を高めます。腫瘍を発光させるためには5-アミノレブリン酸(5-ALA)というお薬を内服し、専用のカメラで青い光を当てると腫瘍が赤く光ります。通常の手術では見落としていた小さな腫瘍や平坦な腫瘍を見つけることができ、再発を抑えることができます。
さらにAUTOCON®Ⅲ400という機械を導入したので、膀胱腫瘍を安全にかつ効率的に切除できるようになりました。
浸潤性(筋層浸潤性)膀胱癌
膀胱癌全体の約1~2割は、浸潤性膀胱癌といわれるタイプです。経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)ですべての腫瘍を切除することは不可能なので、標準治療は、膀胱全摘除術となります。膀胱を摘出するので、尿路変更術を同時に行います。
患者の状態に応じて術前、術後の補助化学療法を実施します。
手術は、従来開腹にて膀胱摘除術が行われていましたが、2012年より保険診療として腹腔鏡下手術が可能となりました。当科でも腹腔鏡下膀胱全摘除術の施設認定を取得し、同手術を開始しました。開腹による膀胱摘除術は、多量の出血を伴い術後の回復が遅いことが問題となりますが、腹腔鏡下に行うと、術中・術後の出血や合併症が非常に少なく、回復が早い利点があります。
腹腔鏡手術
お腹に3~5カ所5~12mmの小さな穴を開けて、そこから筒状のカメラと器具をいれて手術を行う方法です。腹腔鏡手術は、開腹術に比べ➀傷が小さい②痛みが軽い③術中術後の出血や合併症が少ない④術後の癒着が少ない⑤早期に社会復帰可能などの特徴があり、泌尿器科領域ではほとんどの疾患に対して腹腔鏡手術が行われています。
当院で行える腹腔鏡術
前立腺癌 | 腹腔鏡下前立腺全摘除術 |
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浸潤性膀胱癌 | 腹腔鏡下膀胱全摘除術 |
腎癌 | 腹腔鏡下腎全摘除術 腹腔鏡下腎部分切除術 |
腎盂尿管癌 | 腹腔鏡下腎尿管全摘除術 |
副腎腫瘍 | 腹腔鏡下副腎摘除術 |
腎盂尿管移行部狭窄症 | 腹腔鏡下腎盂形成術 |
尿膜管膿瘍・遺残症 | 腹腔鏡下尿膜管摘除術 |
精索静脈瘤 | 腹腔鏡下精索静脈瘤手術 |
腹腔鏡下腎摘除術、部分切除術
当科では悪性が疑われる腎腫瘍に対して、お腹に3カ所の穴を開けて腹腔鏡下に腎臓の摘出を行います。また4cmを超えない小さい腎腫瘍に対しては、腹腔鏡下に腫瘍部分だけを切除する腎部分切除術を行い、腎機能の温存を行います。 腎盂尿管癌に対しても腹腔鏡下に腎臓・尿管・膀胱の一部を摘出します。腹腔鏡操作だけでは腎臓・尿管・膀胱の一部を一塊に摘出できないので、一部皮膚切開を大きく拡げる必要があります。腎盂尿管癌は非常に再発・転移しやすく、当科では可能な限り同時にリンパ節郭清術を行い、病理結果をみて術後補助化学療法も行うようにしております。
腹腔鏡下腎盂形成術
腎盂尿管移行部狭窄症に対しては、狭くなった尿管を切除し新たに腎盂と尿管をつなぎ合わせる手術を腹腔鏡下に行っています。お腹に3~4個の1cm程度の穴で行うので、非常に傷が小さい利点があります。
腹腔鏡下副腎摘除術
副腎腫瘍はサイズが大きい場合や悪性が疑われる場合を除きほとんどの症例で腹腔鏡下に手術を行います。副腎は横隔膜に接してお腹の奥深く、非常に見えにくいところにあるので、腹腔鏡手術が非常に有利です。お腹に3~4個の1cm程度の穴を開けて気腹下に行うので、傷が小さく出血量も少ない利点があります。
腹腔鏡下尿膜管摘除術
尿膜管は、胎児期に臍から膀胱につながっていて胎児の尿を母体に流す働きをしており、通常は出生とともに閉鎖します。しかしこの尿膜管が閉じずに残っている状態を尿膜管遺残といい、この部分に感染すると臍から膿が出たり、腹痛や排尿時痛の原因となったりします。根治治療として、当院では開腹術を行わず、腹腔鏡下に行います。3カ所腹部に穴を開けて、腹腔鏡下に尿膜管・臍動脈索・臍を一塊に摘出し、最後に臍を形成します。入院期間は、約5日前後です。
腹鏡下精索静脈瘤結紮術
精索静脈瘤は、精巣周辺の静脈が怒張し瘤を形成した症状のことで、不妊症や下腹部痛・陰嚢痛の原因となります。80~90%は左側に生じ、思春期以降に起こることが多いです。当科では腹腔鏡下に原因となっている精索の静脈を切断する手術を行っています。