麻酔科

部長 末盛 智彦

活動状況

 2017年は麻酔科にとって非常に人事異動の多い年になりました。まず、3月末に長年麻酔科を指揮して来られた楠目祥雄部長が退職されました。続いて6月には高野洋平先生が退職され、高知医療センターより坂本里沙先生が赴任されています。7月には私、末盛智彦が岡山大学病院より部長として赴任し、4月以降、部長代理を勤めておられた池田智子先生が川崎医科大学総合医療センターへ異動されました。そして、12月末には納庄弘基先生が明石医療センターへ異動されました。
 以上のように目まぐるしく人事異動が行われ、近森病院麻酔科の陣容はガラッと変わりました。現在は末盛智彦、須賀太郎医師(痛みのクリニック兼任)、山本賢太郎医師(ER兼任)、坂本里沙医師の4人に外部からの応援をかりて麻酔管理を行っています。人事異動の影響もあり夏季には麻酔科管理手術件数が減りましたが、秋以降は回復し年間の麻酔科管理症例数は2,188件(前年比1.8%減)と昨年に比べて微減に収まりました。

 麻酔科管理症例の内訳は別表に示しますが、その特徴を以下にまとめます。

  • 科別に見ると整形外科が最も多く、続いて外科、心臓外科となりました。
  • 近森病院は救急病院であるため整形外科手術がとても多くあります。特に高齢者の骨折手術が多く、中には麻酔リスクが高すぎて全身麻酔管理を躊躇する場面もありました。しかし、整形外科の先生方の「この患者さんは今手術をしないと一生寝たきりになるので、どうしても手術が必要なんです」という情熱に動かされ、「極力断らない麻酔科」を目指しています。
  • 心臓外科においては292件の麻酔管理を行いました。心臓外科も冠動脈バイパス手術、大動脈解離手術などの緊急手術が多いことが特色ですが、麻酔科も良好な手術成績に貢献しています。2014年末より当院で行われてきたTAVI(経皮的大動脈弁植え込み術)は47件が行われ総数100件を超えました。チームワークが大変重視されるTAVI治療において、当科は安定した麻酔、繊細な循環管理でチームに大きく貢献しております。
  • 麻酔科管理症例の内、955件(44%)が術前麻酔リスク評価で高リスク(ASA-PS 3以上)でした。ER、ICU、内科系外科系各科の充実している当院には高リスクの症例が数多く搬送されてきます。麻酔科でもリスク評価、術中管理を綿密に行い、合併症の少ない周術期管理に貢献しています。
  • 全身麻酔に伝達麻酔(末梢神経ブロック)を併用する症例が多いのも当科の特徴です。伝達麻酔は出血や感染に伴うリスクが少なく抗凝固療法中の患者さんにも比較的安全に行えることから、積極的に導入し患者さんの疼痛軽減、早期のリハビリ開始に役立てています。

 以上のように緊急手術、ハイリスク手術、高齢者手術が多いことが近森病院麻酔科の特徴ですが、少ないマンパワーにも関わらず大きな問題を起こすことなく管理しております。これには先任の楠目部長が築かれたシステム、人的財産によるものが大きいと考えています。特に、手術室看護師、急性期CE(臨床工学士)チームは積極的に関与してくださっており、手術麻酔の安全・効率的な運用の大きな支えとなっております。
 昨年の反省点としては学会発表、研究活動が少なかったことがあげられます。人事異動が多く十分な研究時間が得られなかったことが原因の1つではありますが、新しく生まれ変わった麻酔科では研究、情報発信にも精力的に取り組んでいきたいと思います。また、今後の重要課題として、マンパワーの補充をはかり外科系各科、ERの要望に十分応えられる土台作りを目指したいと考えています。近森病院で一緒に仕事をしたいという麻酔科医、研修医の皆様には是非気軽に声をかけていただきたいと思います。

【資料】

2017 年 麻酔科年間実績(PDF)

  • 表1 麻酔法別分類
  • 表2 依頼科別分類
  • 表3 年齢性別分類
  • 表4 麻酔リスク度(ASA-PS)別分類
  • 表5 手術部位別分類

業績

■学会発表

学会名 発表日
演題 演者
日本心臓血管麻酔学会第22回学術大会 2017年9月17日
「Transcatheter Aortic Valve Implantation (TAVI) 100例の経験」

近森病院
麻酔科

  • 池田 智子
  • 楠目 祥雄