消化器内科

主任部長 榮枝 弘司

 2017年の内視鏡検査および処置総数は、【表I】のように上部消化管内視鏡3735例、小腸内視鏡10例、大腸内視鏡2002例、逆行性膵胆管造影(ERCP)602例で、そのうち緊急内視鏡は上部消化管273例、下部消化管208例、ERCP255例です。
 吐・下血に対する内視鏡的止血術は、上部141例、下部68例で、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、食道癌4例、胃癌59例、十二指腸1例、大腸癌4例です。また胃十二指腸内視鏡的粘膜切除術(EMR)10例、大腸粘膜切除術184例施行しています。胃食道静脈瘤に対する内視鏡的治療は、硬化療法16例、結紮術38例と減少してきており、抗ウイルス治療による肝硬変および肝癌患者の減少がその要因です。またピロリ菌の除菌により出血性胃十二指腸潰瘍も減少してきていますが、高齢化とともに大腸憩室出血による下血が多くなっています。さらに膵胆道癌患者と高齢者の総胆管結石による胆管炎が増加しており、当科のERCP総数(処置を含む)も、年々増加して2016年は654例と過去最高となり、2017年も602例と多く、中四国でも有数の症例数になっています。高知県の高齢化率は全国2位ですが、当院でERCPを施行した85歳以上の超高齢者の胆管結石による胆管炎患者数(胆管癌・膵癌は除く)も、2016年から2017年の2年間で142人と非常に多くなり、高齢化しています。80歳以上では、心臓や脳血管障害、認知症などの並存疾患も多く、また緊急ドレナージが必要なことも多いことから、これまで以上に慎重な内視鏡操作や全身管理が必要です。
 (これまでの消化管内視鏡検査総数の年次推移を、図1~図4に示します)

 肝疾患の入院は、平成13年より肝細胞癌症例が減少に転じており、2016年の経皮的ラジオ波焼灼法の年間症例数は48例で、2017年も49例と少なくなっています。
 C型慢性肝炎・肝硬変に対して、2014年秋から経口抗ウイルスが保険適応となり、全国的にもC型による肝細胞癌は減少していますが、肥満や糖尿病による脂肪性肝炎からの発癌が増加しており、しかもウイルス性と異なり、肝臓専門医や消化器内科医がフォローしておらず、定期的な画像検査がされていないことから、根治不能の進行癌で紹介されることが多く、啓蒙が必要です。
 2017年の消化器内科の人事は、4月から久雅行医師および前田真佐医師が後期研修医として入職し、国立名古屋医療センター消化器科で1年間研修していた梅下仁医師が9月に復職しました。後期研修医の田村恵理医師は4月から1年間の予定で秋田赤十字病院消化器科で大腸内視鏡の研修をしており、また同月から井上薪医師は仙台厚生病院消化器科、山本泰正医師は静岡がんセンター感染症内科へ転勤され、新天地で活躍されています。また徳重美香医師は、夫である高知大産婦人科Drの転勤に伴い幡多県民病院へ移られ、腫瘍内科専門医である富田秀春科長は、非常勤となり週2日外来と化学療法患者さんの治療を継続していただいています。現在スタッフ10名、後期研修医5名の合計15名であり、そのうち女性医師は7名(うち部科長2人)と多く、中堅医師は家庭を持ち子育てしながら仕事もしており、男性女性を問わずワークライフバランスがとれるような環境をつくることが重要になっています。学会専門医としては、消化器内視鏡学会指導医1名、専門医9名、消化器病学会の指導医2名、専門医9名と肝臓学会専門医1名となっています。
 2017年も学会発表を積極的に行っていますが、そのなかで日本消化器内視鏡学会四国地方会で植村夏美子医師が初期研修医奨励賞をいただき、また田村恵理医師が日本消化器病学会専修医奨励賞を受賞して2018年の学会総会に招待を受けています。
 2018年度より新臨床専門医制度も始まりますが、これから消化器内科を目指す研修医にはGeneral physician としてしっかりした土台をつくりながら、消化器内科のspecialistとして研鑽し、人間的にもバランスのとれた医師を目指してほしいと思います。

  • 表I表I
  • 図1図1
  • 図2図2
  • 図3図3
  • 図4図4
  • 図5図5
  • 図6図6