相談役 近森正幸のひとりごと
[2019年01月] 「近森栄養ケアCase Study」まえがき
「近森栄養ケアマニュアル」は、2013年5月に第1版が発行され、今年で発行より5年が経ち現在の臨床栄養に合わない部分も出てきたため、第2版の改訂版を出版することとなりました。
この5年間で栄養サポートは大きく変わり、たとえ病棟に常駐しなくても管理栄養士が時間を作って病棟へ出て直接患者を診て栄養学的に判断し、介入する病院が増えてまいりました。
近森病院でもこの5年間で医師、看護師、管理栄養士、リハスタッフ、薬剤師が一同に会し、カンファレンスですり合わせをして時間をかけて情報共有するNST加算を算定するよりも、管理栄養士を病棟に常駐させ、栄養サポートの必要な患者すべてにリアルタイムに適切な栄養サポートを行い、情報共有も電子カルテに載せるか、一言、二言の情報交換で情報共有する効率的な栄養サポートを行い、アウトカムを出す流れに大きく変わっています。病棟に常駐し患者を診て栄養評価を行い、栄養サポートのプランを作り、介入することで「暗黙知」が蓄積され専門性が高まることで栄養サポートの質も高くなり、効率的で質の高い栄養サポートを実践できるようになってきました。
高齢社会を迎え入院患者の半数に栄養サポートが必要となる現在、数少ない栄養の専門医が主体となって栄養サポートするよりも、全国の管理栄養士が栄養士の視点で患者を診て栄養士主体の栄養サポートをする方がはるかに患者にとっていい栄養サポートができると信じています。この「近森栄養ケアマニュアル」は、まさに管理栄養士の管理栄養士による管理栄養士のための実践的な栄養サポートのバイブルと言えますし、現在、近森会グループの病棟や外来で生き生きと働いているすべての管理栄養士の知恵が詰め込まれています。この本が全国の管理栄養士が病棟に出て患者を診る手助けになればと願っています。
2019年1月
近森 正幸
社会医療法人近森会 理事長
近森病院 院長・同NST Chairman