理事長のひとりごと
[2017年08月01日] 究極のチーム医療
透析をお任せしていた吉村和修先生が、大学の先輩が教授になり手伝ってほしいとのことで、帝京大学ちば総合医療センターに腎臓内科の病院教授として、この8月に招聘された。腎臓内科の専門医が少ない高知にあって先生は貴重な存在で、いずれは近森に帰ってきていただけるということで、送り出すことになった。先生にとっても幅広い経験をつまれる最後のチャンスでもあり、また一回り大きくなって帰ってきて欲しいと願っている。
振り返ってみると、7カ年計画の遂行や昨年4月の診療報酬改定で大きな影響を受けたときの組織変革、意識変革ができ、マイナス改定に全力であたることができたのも、またこれまで自分が理事長、院長職に専念できたのも、吉村先生に透析部門を担っていただいたおかげであった。
先生の努力で循環器疾患を中心に脳卒中や消化器、外傷など、高知県全体から透析患者さんが近森に集まってくれるようになった。最近は患者さんも増え、常に30~40人の透析患者さんが絶えず回転しながら入院している。
私も10年近く回診には参加していたが、透析現場から離れていたため外来透析患者さんの経過を把握しないといけないし、内服もほとんどがジェネリック薬となり、透析時の注射薬なども大きく変わっている。
5月中旬に招聘の話があってこの6、7月にさまざまな透析ルールの変更や業務分担の見直しを行なった。まず理事長職もそこそこ忙しいので、極力手を取られないようにすることが必要だった。まずこれまでの他科の主治医から透析の依頼や変更を透析医が受け透析技士に指示をする流れから、24時間常時、主治医から直接技士に指示する体制に大きく変更した。
次に透析のマニュアルづくりにとりかかり、透析時の抗凝固剤もケースごとに使用薬剤と量を標準化して、技士自身が判断できるようにした。また心機能や肺鬱血などの有無によって除水量を標準化して、時間外や休日には技士と担当医で除水量を決められるようにした。透析や検査の指示はすべて技士と看護師に代行入力してもらうようにして業務量を著しく軽減している。
こうして吉村先生と共に透析業務の標準化を進め、透析技士と看護師が自分で判断し業務を行なえる自立自動できる体制を整えた。吉村先生の留守のあいだに更に完成度を高め、究極のチーム医療をつくり上げたい。
2017年8月1日
理事長 近森正幸