相談役 近森正幸のドキュメント document

相談役 近森正幸のドキュメント

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近森病院附属看護学校 2022年度入学式

入学式 祝辞

第八期生の新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。

近森病院附属看護学校は、高知県の地域医療で活躍する実務能力が高く、人間性の豊かな看護師の育成を大きな目的としています。母体となる社会医療法人近森会は、民間の医療法人ではなく、頭に社会がついた社会医療法人ですので、民間の活力にあふれた日赤や済生会と同じ公的な法人です。

高度の急性期医療を展開する救命救急センターの「近森病院」、脳卒中のリハビリを行う「近森リハビリテーション病院」、整形外科のリハビリが対象の「近森オルソリハビリテーション病院」、障害者の社会復帰や就労支援を行う春野にある「高知ハビリテーリングセンター」及びご近所の高知警察署から一区画西にある「しごと・生活サポートセンター ウェーブ」など、急性期からリハビリテーション、在宅まで、県民、市民の皆様が、たとえ病気になっても、障害が残っても、住みなれた地域で暮らせるよう頑張っています。

それと共に教育、研修には熱心に取り組んでおり、先生方の卵である初期研修医やそれにつづく専門医の養成、さらには、看護師特定行為研修も全国に先駆けてスタートするなど、高知の地域医療をになう人材が近森から数多く育ってくれております。

一昨年から、新型コロナにより研修会や学会への出席は大きな影響を受け、ほとんどが中止やWeb開催となりましたが、従来は、近森会全体で県外への出張は一年間で1,000名を超え、研修会も600回以上開催され、院内外のスタッフ15,000名以上が参加するなど、医師、看護師ばかりでなく、多くの医療専門職の人材育成も行ってきました。

21世紀に入り、医療の高度化と高齢社会の到来、診療報酬制度の変化により、病院の医療も大きく変化しています。日々の業務量が膨大になるとともに、高い医療レベルが求められるようになり、「医師と看護師だけで医療を行う時代」ではなくなっています。多くの医療専門職が病棟に常駐し、リハビリスタッフや薬剤師、管理栄養士、臨床工学技士、MSWといった多職種が周辺業務を担い、看護師は「看護というコアの業務」に専念し、医療ばかりでなく看護もチームで行う時代になりました。近森は多職種による多数精鋭の「病棟常駐型チーム医療」では質、量共に日本のトップであり、国公立病院の伝統的な「医師と看護師だけで行う少数精鋭の医療」は、限界にきていることを分かっていただきたいと思います。

本校は、医療機関に附属した看護学校であり、公立学校のように今回の新型コロナで一律に授業や実習を制限、中止するのではなく、医療人にとってもっとも大事な感染防御を学ぶ千載一遇のチャンスととらえ、考え得る限りの感染対策を講じた上で、学校内での授業や近森病院での実習は可能な限り行わせて頂きました。

さらには、救命救急医療から急性期、リハビリテーション、精神、在宅などの医療の最前線で活躍している医師や看護師ばかりでなく、多くの医療専門職が講師となり、臨床現場のニーズにあった幅広い講義や演習、実習が行われています。自由な校風と恵まれた教育環境の中で、従来の「病棟業務はすべて看護師が行う」という固定概念にとらわれない、新しい時代の看護を目指す教育を行い、高い実務能力と心豊かな人間性をはぐくんでいただきたいと切に願っています。

学生時代は基本的な知識や技術を身につけ、看護業務が安全、確実に実践できるようになると共に、将来看護師として成長する基礎を身につけて下さい。卒業後は、先進的な医療現場で刻々と変化する患者さんを看護師の視点で診て、看護判断し、介入を繰り返して下さい。時には失敗して怒られ、時にはうまくいって患者さんから感謝の言葉や笑顔を向けられるかもしれません。こんな経験を繰り返すことで、専門性を高め、人間性や総合力を身につけ、患者さんを全人的に診れる看護師に成長します。私たちは看護学校だけではなく、卒後研修の充実した近森での看護の実践を含めた一連の教育が、よりよい看護師に成長するベストの方法であると考えています。

ここにおられる第八期生のみなさんが、校歌に歌われているように近森だけではなく高知の地域医療の杖となり、新しい看護のパイオニアに成長してくれることを信じています。学校だけでなく、近森の医療現場みんなでみなさん方を育て、患者さんにとってなくてはならない素敵な看護師になって、すばらしい人生をいきいきとやりがいをもって歩んでいただきたいと心から願っています。

2022年4月6日
社会医療法人 近森会
理事長 近森 正幸

おめでとうございました。