相談役 近森正幸のドキュメント
地域医療連携ガイド2021
近森病院 地域医療連携ガイド2021 発刊に寄せて
各医療機関の先生方、スタッフの皆様、いつも近森病院との地域医療連携にご協力頂きありがとうございます。
2020年は武漢発生の新型コロナ肺炎の世界的なパンデミックで幕を開けました。高知県でも都市部での感染爆発がGo Toトラベルなどで地方にも波及し、12月には第3波の大きな波が押し寄せてきました。2021年4月には第4波として新型コロナウイルスの変異株が関西を中心に蔓延し、医療崩壊に陥る事態となっています。
新型コロナ肺炎の対応として、高知医療センターを中心に公的、民間病院15病院(最大208床)が感染対応の医療機関として、治療ばかりでなく感染防御や風評被害などの様々な困難を乗り越えて対応しています。
近森病院は高知赤十字病院などと共に救命救急医療の基幹病院として地域医療の崩壊を防ぐために全力で対応してきました。高知県におけるコロナ重症患者に対応可能な病床数はわずか数床しか確保されておらず、重症患者の治療には高度の医療機器と訓練された医療スタッフのチーム医療がかかせないことから、近森病院でも第3波の2020年12月18日から2021年2月19日、第4波の2021年4月30日からSCU病棟を閉鎖し、コロナユニット(最大15床)を開設、新型コロナ肺炎の最後の砦として対応する体制を取っています。
コロナの蔓延と共に受診抑制が起こり、救急搬送件数も特に低緊急患者を中心に減少しています。人口が減少し、病院、病床数が全国一の高知県の地域医療において、急性期病院ばかりでなく回復期や、慢性期の病院、診療所なども今までにない厳しい状況に追い込まれています。今後は、生き残りをかけてそれぞれの医療機関の機能を絞り込み、専門性を高め、今まで以上に密接でキメの細かい迅速な連携、「アライアンス連携」が必要になってきました。
当院は、開設当初より救急医療に特化して地域医療に貢献してきました。現在では、救命救急センターを中心として、ハートセンター、脳卒中センター、外傷センター、消化器病センター、呼吸器病センター、腎・透析センター、泌尿器科、画像診断センター、総合心療センターとして内科系、外科系の先生方が協力して、県内でも有数の患者さんを診療しています。
この「近森病院地域医療連携ガイド2021」には各医師の何が得意なのか、どういう思いで診療しているのか、といった事を掲載しています。顔の見える連携を目指して診療を行っていきますので今後ともよろしくお願いいたします。
2021年5月
近森病院 院長 近森 正幸