相談役 近森正幸のドキュメント
ひろっぱ Vol.417 2021年4月号
コロナ時代の新人を迎えて
社会医療法人近森会
理事長 近森 正幸
はじめに
今年の新人は、卒業前の大事な1年間に新型コロナで授業や実習が大きな影響を受けた、まさにコロナ時代の新人と言える。十分な実習が出来ず、臨床現場に上手く入っていけるかどうか、不安に思っている方も多いのではないかと心配している。
医療人としての厳しい規律
近森病院附属看護学校では、公立学校のように一律に制限、中止するのではなく、医療人にとって最も大事な感染防御を実戦で学ぶ千載一遇のチャンスととらえ、考えられる限りの感染対策を講じた上で、学校内での授業や近森病院での実習は可能な限り行った。
その中でマスクを着用し、頻回の手洗いや手指消毒をすることで、会食時などのマスクをはずしての会話さえなければ、新型コロナを防げることを実感したし、病院や学校でクラスターを発生させないという、医療人としての厳しい規律を身につけてくれた。
新型コロナを経験して緊張感をもって近森会グループに入ってきた新人は、これから臨床現場で先輩たちの指導や研修を通じて、立派な医療人に育ってくれることを期待している。
近森でいきいきとやりがいをもって働こう
近森会グループは、高度急性期から急性期、回復期リハビリ、在宅サポートと県民、市民が生命にかかわる病気にかかっても早く治して、障害が残ればリハビリで可能な限り住み慣れた地域に帰っていただくよう、グループ全体で努力している。
近森全体で現在、医師147名を含めスタッフ総数2,260名であるが、これだけ多くのスタッフでも全ての医療に対応することはできない。そのため病状が落ち着けば、かかりつけの先生方に逆紹介し地域で診てもらい、悪くなればまた近森へ紹介していただくという地域医療連携を20年以上前から実践してきた。
さらには、医師、看護師の周辺業務を多職種に委譲し、診断、治療、看護というコア業務に絞り込むことで、医師、看護師は本来の業務に専念できる体制をとっている。多くの医療専門職は病棟に常駐し、全国でも質、量ともにトップのチーム医療を実践している。多職種もそれぞれの視点で患者を診て診断し介入することで、それぞれの分野ではみんなが主役であり、臨床現場でいきいきとやりがいをもって働いている。
さいごに
近森は医師、看護師ばかりでなく、薬剤師、リハスタッフ、管理栄養士、メディカルソーシャルワーカー、事務、クラーク、アテンダント、清掃のスタッフに至るまで、みんなで患者さんに早く良くなって帰ってもらおうと心を一つにして働いている素晴らしい職場です。「コロナ時代の新人だから、さすが!!」とみんなから評価されるよう頑張って下さい。そして、医療人というやりがいのある仕事を通じて、新人の皆さんの人生がいきいきと充実したものになることを祈っている。