相談役 近森正幸のドキュメント
ひろっぱ Vol.414 2021年1月号
年頭所感 今までの発想にとらわれない自己変革
~高知の地域医療を守る最後の砦になろう~
社会医療法人近森会 理事長 近森 正幸
はじめに
2020年は新型コロナに始まり、新型コロナの第3波が全国に波及して終わった年となった。今年も新型コロナとの戦いが続くと考えられ、医療機関にとっては非常に厳しい年明けでした。
幸い高知は僻地のためか新型コロナの発生が少なく、北海道や関東、中部、関西、沖縄などの医療機関に比べはるかに影響は少なくなっている。
当院の新型コロナ対応
高知県の新型コロナに対する体制は、高知医療センターをはじめとする入院協力医療機関が整備され、当院及び高知赤十字病院は救命救急センターとして患者数や死亡例のはるかに多い救急患者への対応を行っている。ただ、高知県でもパンデミックになれば人工呼吸やECMOが必要な重症患者が増加し、高知医療センターのみでは対応しきれなくなることから、最後の砦として当院でも重症患者の受け入れを行う体制を整えている。
新型コロナの影響で外来患者数や紹介、救急患者数、入院患者数すべてが2020年3月から6月にかけて減少し、7月、8月にかけて回復してきた。ただ、紹介や救急で入院を必要とする患者はあまり減少せず、生命に係わる緊急に受入れが必要な患者はスムーズに対応できており、救命救急センターの使命を遺憾なく発揮している。
本当に必要な医療を追求してきた近森の対応
近森病院は1964年6月の救急病院告示以来半世紀以上にわたり救急の近森として高知の県民、市民のため、救急患者の受け入れを行ってきた。その間、営々と医療の質を高め、2003年2月には地域医療支援病院に承認され、2011年5月には救命救急センターに指定されている。
7カ年計画で急性期の近森病院、脳卒中の回復期リハビリを行う近森リハビリテーション病院、整形患者のリハビリを行う近森オルソリハビリテーション病院の全面的な増改築工事を行い、これからの20年、30年耐えられるハードを整備した。
これにより救急車の搬入件数は1.5倍となり、今まで満床でお断りせざるを得なかった紹介や救急による入院患者をスムーズに受け入れている。救急搬送件数は2018年度も中四国で3番目となり、生命にかかわるメジャーな傷病の入院患者数や手術件数は2016年度から高知県トップになることができた。
ソフト面でも20年以上前から先進的に地域医療連携をすすめるとともに、2003年には栄養サポートチームにより管理栄養士が病棟に出るようになったことで、全国ではじめて多職種による本格的な病棟常駐型チーム医療がスタートした。病院やスタッフの機能を絞り込むことで医療の質を上げ、労働生産性を高め、マネジメントで病院機能を整備してきたし、先生方はじめスタッフみんなの労働環境や、やりがいが飛躍的によくなっている。
最後に
近森は今までの発想にとらわれず、自己変革を限りなく続け、成長してきたが、職員一丸となって「高知の地域医療を守る最後の砦になる」という使命感をもって常に変化し、今まで以上によりよい病院に変わり続けている。これからも元気に歩んでいきますので、どうかよろしくお願いいたします。