相談役 近森正幸のドキュメント
2019/10/7(月)18:30~
救命救急センター連絡協議会 3会③
救命救急センター連絡協議会
本日はお忙しい中救命救急センター連絡協議会にお集まりいただきありがとうございます。今年度の高知の救命救急医療における最も大きな出来事は、長年生命をかけて高知県の救命救急医療を育て、ひっぱってきて下さった西山謹吾先生が高知大学医学部 災害・救急医療学講座 教授に就任されたことだと思います。幸いなことにこの連絡協議会の新委員として出席されておりますので、今まで以上のご指導よろしくお願いします。
1)日本の地域医療は3つの大きな変化で大きく変化しています。まず初期研修医制度により大きく変わりました。
一言で言うと、大学病院から地域の基幹病院への初期研修医の移動です。
「パンドラの箱」があき、教授の命令に従わない若いDr.が増え、自分の行きたい病院に行くようになりました。
2)次の大きな変化は専門医制度の創設です。
これは大学病院が市中の基幹病院から後期研修医を集めようとする、大学病院の復権です。
たしかにVHJ病院(民間の基幹病院のグループ)では、この数年急激に初期研修医が病院に残ることがなくなっています。当院でも同様の傾向がみられます。
但、大学病院で専門医を集めているのは大都市にある大学病院や旧帝大で、田舎に多い新設医大は残る先生方が少なくなっており、各々の救命救急センターも大きな影響が出てきています。
3)3番目の大きな変化は「医師の働き方改革」ではないでしょうか。
この改革で最も大きな変化を受けるのは「田舎の救命救急センター」であると厚労省の幹部も言っており、細かい基準は作らないので地域、地域で対応してもらいたいとも言っています。確かに救命救急センターの救急外来は当直においても日常業務と同様の業務であり、ERで夕方5時から翌日の9時まで16時間当直すると2日間、先生方に休んでもらわなければなりません。
この問題は高知県の救命救急医療を守るために、早急に高知県救急医療協議会で検討し、労働基準局とも相談し、対応しないといけないと考えております。
- ①まず救急告示病院の日当直の問題です。
救命救急センター以外の高知県全体の救急病院は緊急症例の32%、準緊急症例の61%、低緊急症例の74%、全体でも59%、6割近い救急患者を診て下さっております。
多くの救急患者に対応している救急告示病院の日当直が、日常業務に労働基準局から認定されると、数少ない先生方で頑張っている救急告示病院はとうてい交代制は無理であり、ウィークデイの夜間、土日祝日の昼間も夜間も救急の受入れをストップし、高知県の救急医療が大混乱に陥るのは明らかです。
県行政として労働基準局と協議し、救急告示病院の日当直は日常業務ではなく、かかりつけの患者に対応する程度の宿日直として認めていただくようにお願いしたい。 - ②3病院の救命救急センターは、個々の現場の業務量に応じて労働基準局と日常業務の日当直か、宿日直かを決めざるを得ません。3救命救急センターといえども医師が充分在籍しているわけではないので、高知県の救命救急医療機能を崩壊させない方向で高知県行政は対応していただきたい。
但、救命救急センターの救急外来は業務量を分析すれば日勤、準夜帯はどうみても日常業務であるが、深夜帯は外科系はほとんどが寝当直であり、宿直になるのではないか、また内科系の業務量も深夜帯はかなり減少しているので、例えば日赤病院と近森病院の深夜帯の日替わりの交代制をとれば通常業務の医師の減少を半分に抑えることが出来ます。 以上述べてきたことと救急医療協議会で検討することですので、早期に開催し、高知県の救急医療を守る方向で検討・実行していただければ幸いです。
4)最後に3つの救命救急センターがせっかく一同に会し、連絡協議会を開催していますので、各救命救急センターのデータの解釈や相違点について、分かりやすく発言していただきたい。
- ①近森病院では救命救急センターの患者総数、walk inの患者が、他の病院に比べ倍以上に多いですが、これは近森病院が欧米型のER体制で診療に当たっているためです。
重篤患者のうち重症外傷でMax AISが3以上であった患者が多いのは大腿骨頸部骨折などが含まれるためで、近々基準が変わると言われておりますので、修正されると思います。 - ②高知赤十字病院にお聞きしたいのは、昨年のこの会議でも質問した重篤患者のうちその他の重症病態が他の2病院に比べ195例と多く、死亡例も0ですので、どのような病態をこの項に上げているのか、教えていただきたい。
- ③高知医療センターにお聞きしたいのは以前より緊急症例を数多く診ていただいておりましたが、2018年11月から急に減っております。この理由を教えていただきたいと思います。