相談役 近森正幸のドキュメント
地域医療連携ガイド2019
近森病院 地域医療連携ガイド2019 発刊に寄せて
近森病院 院長
近森 正幸
各医療機関の先生方、スタッフの皆様、いつも近森病院との医療連携にご協力頂きありがとうございます。
皆様もご存知のとおり2016年4月の診療報酬改定で、7:1病棟ABC25%ルールやICU80%ルールなどのアウトカム評価が本格的に導入され、昨年4月にはABC30%ルールとより強化されています。当院でも入院制限による稼働率の低下が起こり大きな影響が生じております。すぐに救急受け入れ推進ワーキンググループを立ち上げて、「いかに多くの患者さんをスピーディーに受け入れられるか」ということを、現場の医師や看護師、コメディカルスタッフと何度も話し合いを設けました。その結果、2017年度は年間7,000台以上の救急車の受け入れとなり、中四国でも倉敷中央病院に次いで第2位の受け入れ件数まで増加しています。
更に、急性期以外でも回復期リハビリテーション病棟でのFIMによる実績指数、在宅復帰率の厳格化が始まり、慢性期でも介護療養病棟の廃止や介護医療院の創設など、日本の医療が大きく変わる転換期に入りました。急性期、回復期、慢性期すべてのステージにおいて生き残りをかけたシビアな淘汰の時代に突入したといっても過言ではありません。
人口が減少し病院、病床が全国一の高知県の地域医療において、急性期病院ばかりでなく回復期や、慢性期の病院も患者獲得の為に動き出しています。近森会グループは元々、近森リハビリテーション病院や近森オルソリハビリテーション病院との垂直統合による連携を積極的に行ってきました。今後は、他法人との今まで以上に密接でキメの細かい連携、「アライアンス連携」が必要になってきます。実際、複数の他法人の連携担当の医師と看護師長が当院に定期的に来院し、直接患者さんに接して転院調整を行う取り組みが始まっていますし、当院の専門医が紹介元の医療機関を訪問したり、定期的に連携医療機関で診察することで、より顔の見える連携を行っています。数年前には考えられなかった変化が起こっており、高知の地域医療の地鳴りのような変動が始まってきたように感じています。
当院は、開設当初より救急の「チカモリ」として救急医療に特化して地域医療に貢献してきました。現在では、特に循環器、神経、消化器、外傷分野で県内でも有数の患者さんを診療しています。今後も救命救急医療に特化した病院作りを続け、地域の中で信頼される病院になっていく所存です。
この「近森病院地域医療連携ガイド2019」には各医師の何が得意なのか、どういった事を考えながら診療しているか、といった事を掲載しています。顔の見える連携を目指して診療を行っていきますので今後ともよろしくお願いいたします。
2019年5月