相談役 近森正幸のドキュメント document

相談役 近森正幸のドキュメント

相談役 近森正幸のドキュメント

ひろっぱ Vol.393 2019年4月号

新人を迎えて
皆さんと共に歩んでいきたい

社会医療法人近森会
理事長 近森 正幸

はじめに

近年の診療報酬改定で、看護師の数さえ揃えれば診療報酬が得られるという「ストラクチャー評価」から、成果を出すことで評価される「アウトカム評価」に変わり、日本の医療は大きく変わろうとしています。さらには、「医師の働き方改革」をはじめとするスタッフの働き方が問われる時代になっています。

大きく変わる高知の地域医療

私たちが医療を行っている高知は、高齢県であり人口減少県でもあり、病院病床も全国平均の倍と多く、課題先進県であると共に全国の地域医療の10年、20年先の変化を現在見ることができる高齢者医療の先進県でもあります。

高知の地域医療は、アウトカム評価により重症の患者を数多く集め、早くよくして地域に帰って頂くという競争が始まっており、急性期ばかりでなく回復期や慢性期、施設、在宅まで大きく変わろうとしています。急性期は稼働率の低下から病棟閉鎖や一般急性期から地域包括ケアへの転換、慢性期では介護医療院という施設への転換や廃院が起こっています。

時代の変化に対応する自己変革-選択と集中、そして連携-

近森会グループはこのような変化を予見し、10年以上前から着々と自己変革を続けてきました。

ハード面では7カ年計画で近森病院、近森リハビリテーション病院、近森オルソリハビリテーション病院を全面的に増改築し、2018年5月にはしごと・生活サポートセンター ウェーブが新築移転しています。

ソフト面では、近森病院急性期病床を338床から452床に増床することで入院患者数は1.3倍に増加し、中四国での救急車搬入件数は倉敷中央病院に次いで2番目で、多くの救急、重症患者を受け入れ、救命救急医療では地域1番店になっています。

地域医療連携は20年以上前から取り組みをはじめ、2003年地域医療支援病院として認可され、最近は当院医師の病院訪問や、他の病院の連携担当医師や看護師が定期的に来院する取り組みも始めています。

重症病棟で手間のかかる重症の患者を診て、落ち着けば一般病棟へ移す病棟連携も、ベッドコントロール師長の活躍でスムーズに転棟が行われています。

何よりも当院の最大の特徴は全国でもトップクラスのチーム医療で、専門性の高い多職種が病棟に常駐し、医師、看護師の周辺業務を行うことで医師、看護師の業務をコア業務に絞り込んでおり、医療の質と労働生産性の向上に大きく貢献するとともに、医師の働き方改革においても画期的な効果を上げております。

みんなが主役のやりがいのある職場

当院では病棟常駐型チーム医療で各診療科や部署が協力して、チームで医療を行っています。医師、看護師ばかりでなく、薬剤師やリハスタッフ、管理栄養士、臨床工学技士などの多職種もそれぞれの視点で患者を診て、判断し、介入することで、専門性の高いスタッフに成長しています。

その為、それぞれの専門分野では、医療専門職一人一人が主役となり、患者に頼られ、みんなが生き生きとやりがいをもって働いています。

おわりに

この数年で病院を取り巻く環境は大きく変わり、右肩上がりから右肩下がりの厳しい時代を迎えています。今までの発想にとらわれず自己変革をし続ける病院が必ず生き残れる病院であると信じています。新人の皆様と共に未だ世界が経験したことのない超高齢社会の医療のあるべき姿に取り組んでいきたいと願っております。