3ページ目へつづく▼近森病院新館を完成した時は、「近森の院長は借金がなんぼか知らないに違いない」とやはり先生方に言われましたが、さすがに建設投資が大きく、資金繰りには当時の川添管理部長にご苦労をかけました。当時の先生方は量的拡大の発想しかなく、機能を絞り込み医療の質と労働生産性を上げるという発想には最後までならなかったように思います。それでもリハ病院と新館の完成祝賀会には多くの先生方が病院見学に来られました。それ以後、本格的な心臓血管外科を開設し、ICUを開設したことで集中治療病棟と一般病棟の間のスムーズな病棟連携が進んでいます。次に地域医療支援病院が承認され、外来患者を絞り込むことで本格的な地域医療連携が始まりましたし、管理型臨床研修病院に指定され、次々と若い医師の育成を始め、現在では臨床の中核を担うまでに成長してくれています。DPCによる一日包括払いを導入し、電子カルテが本格稼働することでチーム医療の基盤整備がなされ、医師、看護師の業務をコア業務に絞り込み、本格的な病棟常駐型チーム医療がスタートしました。このように近森病院は機能を絞り込むことで質を上げ、労働生産性を上げ、爆発的に売り上げを伸ばしてきましたが、その巨大なパワーで実現したのが屋上にヘリポートを有する本館A棟です。A棟の見学会はたまたま台風と重なり、ほんの数人の近森にご縁のある先生方しか来られませんでした。大多数の先生方は何故、民間病院がこんなすごいA棟を建設出来たか理解不能で、自分たちとは関わりのない建物として見学に来られなかったと思います。第二の転換期は、2016年4月の診療報酬改定で、重症度、医療・看護必要度が29%と強化された時です。人口も減少に転じ、「右肩上りの時代から右肩下がりの時代の分水嶺」だったと思います。4月から3カ月間、巨大な赤字の原因を必死に考え、時代の転換期ということを強く思わざるを得ませんでした。全医師と主任以上の管理職を集め、病院経営の方針の大転換を打ち出しました。JOBJOB59本館A棟 ヘリポート(撮影:企画課)2016年8月3日の記録全医師と主任以上の管理職が集められ、近森理事長より経営方針の転換が伝えられた。(撮影:企画課)Q.42
元のページ ../index.html#61