職員から理事長への質問!に回答
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することなく手術が終わっています。また、アッペを含め腹腔鏡手術で術後の■痛も少なく、昔と比べはるかに早く退院することができるようになりました。高齢患者の難治性逆流性食道炎に対するPPI製剤の長期投与により減酸が図られることで、強力な胃酸を中和していた胆汁の分泌が低下し、ビリルビン結石が形成され、それが閉塞し胆管炎を起こすことで閉塞性化膿性胆管炎から敗血症性ショックを併発、重症化する事例が非常に増えてきました。私が医師になった頃は、CTスキャンもエコーもなく、診断がつかなかったことから治療が遅れ、胆管に梅の花が咲いたような多発性肝膿瘍を併発、亡くなる方が非常に多かったことを覚えています。近森に帰って来た当時は、内視鏡治療もまだ進歩しておらず、開腹し十二指腸を切開、乳頭切開をしておりましたが、最近は内視鏡的な乳頭切開や胆管ステント挿入が簡単に行われるようになり、在院日数も驚異的に短縮しています。最も大きな変化は、高齢患者が飛躍的に増えたことです。私が近森病院に帰って来た当時は、病棟に一人せん妄状態の患者がおれば病棟がパニックになっていましたが、看護の活躍で現在は通常の看護業務に組み込まれるようになってきました。高齢患者の特徴は、認知症や低栄養、廃用、臓器不全ですが、非常に手間がかかり高度な医療も必要になることから、業務量が莫大になってきたことで看護師の多い集中治療病棟と一般病棟の間のスムーズな病棟連携と、医師、看護師の業務をコア業務に絞り込み、多職種による病棟常駐型チーム医療の組み合わせが必須になってきました。なかでも低栄養と廃用に対する栄養サポートとリハビリテーションは高齢者医療の両輪であり、近森では時代の変化を見据え近森リハビリテーション病院を開設、リハビリを充実するとともに管理栄養士を病棟に常駐させ、栄養サポートを常時行っています。このように時代とともに疾病は変化してきますので、私も大学病院時代は癌の外科医、近森病院ではなんでも屋の外科医、50歳代になって院長業が忙しく術後管理に目が届かなくなると、八木先生はじめ外科医も充実してきましたので、太田和夫先生の分厚い本2冊読んで透析医師になりました。栄養サポートが始まると日本静脈経腸栄養学会の薄い2冊の本を読んでNSTチェアマンとなり、管理栄養士に栄養サポートに必要な栄養士の視点で見る患者の診方※を教えています。50歳以降の25年間は近森会グループがマネジメントにより大きく変わった時代でしたので、院長、理事長職も頑張っています。※管理栄養士のための「理事長の栄養サポートメモ」としてまとめ、ホームページの理事長のドキュメントに載せています。栄養士やコメディカルが患者を診る時に必要な知識を書いていますので、興味があれば見て下さい。 JOB48Q.33

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