形成外科

部長 赤松 順

 木村医師が当院での2年間の後期研修を終了し、大阪医科大学での研修を開始致しました。交代で大阪医科大学より後期臨床研修医の木野医師が当科での研修を開始致しました。
 筆者(形成外科専門医・皮膚腫瘍外科指導専門医・創傷外科専門医・日本創傷外科学会評議員・日本褥瘡学会評議委員・褥瘡認定士)と科長より昇進した杉田部長(形成外科専門医・創傷外科専門医・皮膚腫瘍外科指導専門医)の2人は小児形成外科指導医の資格を加え、形成外科診療を続行。今年度も、3人診療体制が維持されました。
 年間の新患者数は490名、入院患者数は190名と減少傾向でした。手術件数は、入院手術304例、外来手術207例とやや減少(図1)しました。また、麻酔法別内訳は、外来手術では腰麻・伝達麻酔2例、局所麻酔205例で、入院手術では全身麻酔211例と、昨年より更に増加、腰麻・硬麻・伝麻麻酔24例、局麻手術69例で減少傾向でした。今年度より、症例登録がNCDに移行し、報告様式に若干の変更がありました。形成外科疾患データベースより形成外科専門医認定施設要件の、2012年度以降の症例区分と過去5年間の件数推移を示します(表1)。I.外傷(熱傷・凍傷・化学損傷・電撃傷の手術症例、顔面軟部組織損傷、顔面骨折、頭部・頸部・体幹の外傷、上肢の外傷、下肢の外傷、外傷後の組織欠損(2次再建))156例、II.先天異常(唇裂・口蓋裂、頭蓋・顎・顔面の先天異常、頸部の先天異常、四肢の先天異常、体幹(その他)の先天異常)、III.腫瘍(良性腫瘍(レーザー治療を除く)、悪性腫瘍、腫瘍の続発症、腫瘍切除後の組織欠損(一次再建)、腫瘍切除後の組織欠損(二次再建))、IV.瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド、VI.炎症・変性疾患(蜂窩織炎、眼瞼下垂、陥入爪、腋臭症など)、微減。Extra.レーザー治療も微減。V.難治性潰瘍(褥瘡、その他の潰瘍)、VIII.その他(性同一性障害、ブラッドアクセス、分類不能など)は、やや増加。VII.美容(手術)は基本的に当院では0件。8項目中7項目の分野の症例があり、5項目以上の要件を充足し、8項目中9件以下が3項目で、3項目以内の要件も充足、学会、論文発表など学術面での基準も充分に充足し、論文では、Ultrasonographic Images of Nasal Bone Fracture with Water Used as the Coupling Medium. が、Plast Recostr Surg Glob Open. 2017 May 30;5(5):e1350. 重村(現・廣田)友香先生の共著として掲載されました。
 形成外科専門医のための症例区分では(1)新鮮熱傷(全身管理を要する非手術例を含む) (2)顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷 (4)手、足の先天異常・外傷・変形 (6)母斑・血管腫・良性腫瘍(非観血的治療例を含む) (7)悪性腫瘍およびそれに関連する再建 (8)瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド (9)褥瘡・難治性潰瘍 11)その他の (3)唇裂・口蓋裂 (5)その他の先天異常 (10)美容外科以外の区分で10件以上の症例を確保し、11項目中8項目を必要とする形成外科専門医認定施設としての責任を果たしました。
 本年度も、保険適応となった乳房再建用エキスパンダー及びインプラント実施施設認定を維持致しました。当科で得意とする顔面外傷や瘢痕拘縮・ケロイド症例は、地域の高齢化に伴いやや減少傾向と思われます。内因性疾患合併症例は、相変わらず増加傾向で、褥瘡手術が減少する一方で、特に、難治性潰瘍において、透析や重症下肢虚血などの動脈性以外に、静脈性、糖尿病性、膠原病性など原因の多様性が見受けられました。糖尿病・内分泌代謝内科/リウマチ・膠原病内科の専門科の充実とともに今後益々増加することが見込まれます。循環器内科、皮膚科、透析科も含めた良好なチーム医療が重要と考えられます。
 外来棟4階形成外科外来スタッフは、看護師1名が交代し、2名体制が維持されました。歯科衛生士は、病棟より必要に応じて、適宜応援を受けており、歯科衛生士免許を持つダブルライセンスの看護師の登場が待たれます。形成外科処置室での、専門看護師によるフットケア外来も続行中ですが、皮膚排泄ケア認定看護師(WOC Ns.)ともども、各部署業務多忙で十分に機能させることが難しい情勢です。診療内容の変更は無く、陥入爪治療(ラジオ波焼灼法・超弾性ワイヤー法・VHO/3TO法)や、褥瘡・皮膚潰瘍・創傷治癒関連でbFGF(塩基性ヒト線維芽細胞増殖因子)を用いた治療や持続陰圧閉鎖療法(VAC®・レナシス®・SNaP®・PICO®)も継続しQOWH(創傷治癒の質)の向上を考慮した治療を続行しています。色素性疾患に対する、Qスイッチアレキサンドライトレーザー治療、皮膚腫瘍やほくろ・老人性病変に、ラジオ波焼灼法、CO2レーザー治療も継続しています。その他、脇や足の臭いに対する治療用デオドラントクリームの処方も続行し、院内向けには、グラッシュビスタ(睫毛貧毛症治療薬)も取り扱っています。
 新専門医制度がスタートしますが、他の地方と同様に、中国四国地域では、後期研修医の確保が極めて難しい状況で、形成外科医の都市部偏在化が極めて進行する事態となっております。旧制度における形成外科専門医認定施設として、引き続き皮膚悪性腫瘍、難治性皮膚潰瘍・褥瘡関連、耳や胸郭や臍部の先天異常、美容皮膚科・美容外科関連などバラエティーに富んだ内容の治療を維持し、さらに学術活動の充実をもとに教育面でも一層努力し、要望があれば基幹施設化を目指せるようなレベル維持をと考えております。
 今年度はクリニカルクラークシップ・臨床研修で大阪医科大学より2名、高知大学より1名の学生さんを受け入れました。外来センター棟・形成外科処置室での顕微鏡下血管吻合練習環境の活用した教育や、褥瘡、創傷系専門のスタッフ育成なども継続して行いたいと思います。関係各位には、多大なご協力をお願い致します。

表1 年次別手術件数の症例内訳 (過去5年間)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
I. 外傷 (全身管理を要する非手術例は含まず) 98 104 180 171 156
II. 先天異常 12 10 9 10 8
III. 腫瘍 167 186 149 152 134
IV. 瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド 17 23 25 18 14
V. 難治性潰瘍 57 92 104 118 120
VI. 炎症・変性疾患 26 23 23 34 26
VII. 美容(手術) 0 0 0 0 0
VIII. その他 13 16 14 23 34
Extra. レーザー治療 36 69 42 25 19
大分類 計 426 527 546 551 511

 

図1 年次別入院患者総数と手術件数 (過去5年間)

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
入院手術 216 235 286 315 304
外来手術 210 263 260 236 207
入院患者総数 174 193 195 229 190

 

業績

■学会発表

学会名 発表日
演題 演者
   
第27回高知県形成外科医会 2017年1月28日
「フロンガスによる両手凍傷の1例」

近森病院 形成外科

  • ○木村 祐介
  • 杉田 直哉
  • 赤松 順
  • 北村 龍彦
  • 近森 正幸
「鼠径部リンパ漏の1例」

近森病院 形成外科

  • ○杉田 直哉
  • 木村 祐介
  • 赤松 順
  • 北村 龍彦
  • 近森 正幸
第73回中国・四国形成外科学会学術集会 2017年2月5日
「原発不明癌鼠径部リンパ節転移の2例」

近森病院 形成外科

  • ○木村 祐介
  • 杉田 直哉
  • 赤松 順
  • 北村 龍彦
  • 近森 正幸

大阪医科大学 形成外科

  • 上田 晃一
第4回四国創傷治癒研究会 2017年2月25日
「NPWTによる創傷治癒環境維持 ~症例により期待される効果~」

近森病院 形成外科

  • ○赤松 順
第17回日本褥瘡学会中国四国地方会学術集会 2017年3月5日
「長期入院加療を要した坐骨部褥瘡の1例」

近森病院 形成外科

  • ○赤松 順
5月形成外科連絡会 2017年5月
「右下腿皮膚潰瘍の1例」 近森病院 形成外科
第9回日本創傷外科学会総会・学術集会 2017年7月6日~7日
「外傷後の難治性リンパ瘻に対するリピオドール造影とNBCA塞栓術の治療経験」

近森病院 形成外科

  • ○杉田 直哉
  • 赤松 順

大阪医科大学 形成外科

  • 上田 晃一
第28回高知県形成外科医会 2017年7月22日
「前腕シャント部の外傷による皮膚壊死の1例」

近森病院 形成外科

  • ○木野 紘美
  • 前田 将宏
  • 杉田 直哉
  • 赤松 順
  • 北村 龍彦
第70回高知県医師会医学会 2017年8月19日
「下肢外傷後の瘢痕に対するTissue-expanderによる再建の経験」

近森病院 形成外科

  • ○木野 紘美
  • 杉田 直哉
  • 赤松 順
  • 北村 龍彦

大阪医科大学 形成外科

  • 上田 晃一
第74回中国・四国形成外科学会学術集会 2017年9月3日
「下腿外傷後の瘢痕に対するTE拡張後のラムダ切開による再建の経験」

近森病院 形成外科

  • ○木野 紘美
  • 杉田 直哉
  • 赤松 順

大阪医科大学 形成外科

  • 上田 晃一
10月形成外科連絡会 2017年10月12日
「VAC alta®の使用経験」

近森病院 形成外科

  • ○木野 紘美
  • 杉田 直哉
  • 赤松 順
第6回皮膚・軟部組織欠損治療研究会 2017年11月30日
「Ischemic DFOの2例」

近森病院 形成外科

  • ○杉田 直哉
  • 木野 紘美
  • 赤松 順