看護部(歯科衛生士)

歯科衛生士 楠瀬 美佐

 本年度は、前年度に引き続き、4病棟8ユニットをそれぞれ4名の歯科衛生士が担当した。業務内容としては、全入院患者の口腔内評価を行い、患者の生活場面を通して、より密に多職種と連携を図りながら、専門的口腔ケアを提供し、口腔疾患や誤嚥性肺炎のリスク管理に努めた。入院中の口腔内トラブル(歯科的対応)については、歯科衛生士がコーディネーター役となり、かかりつけ歯科や協力歯科と連携をとり、できるだけ早期から対応を進めた。織田展輔歯科医の指示のもと、摂食機能療法に介入し、口腔機能を整え、食べるための支援も行った。
 また、看護部目標である地域でその人らしく生活することを支えるため、「気持ちに寄り添う」「主体性を大事にする」医療サービスの提供に向けて、歯科衛生士間でも取り組むことができた。

■業務実績
 月別入院患者数とうち口腔内に問題のある患者数を図1に示す。入院患者696名のうち518名(全入院患者の約74パーセント)が入院時に何らかの問題を抱えていた。
 月別歯科受診件数は、図2に示すとおりでのべ1,081件、月平均約90件であった。内訳としては、義歯関連(義歯作成、調整、修理など)が最も多かった。抜歯など観血処置に関しては、全身疾患や内服薬との関連性に配慮し、主治医と歯科医が連携をとれるように歯科衛生士は、医科歯科連携のパイプ役を担った。また、咬傷予防のためのマウスピース作成や睡眠時無呼吸に対しスリープスプリント作成、摂食嚥下機能維持、改善目的で軟口蓋挙上装置や嚥下補助床など特殊な治療もあった。
 月別専門的介入件数は、図3に示すとおりでのべ7,014件、月平均687件介入した。内訳としては、専門的口腔ケアの実施や口腔ケア物品の選択、指導、介助量軽減や自立を目指す口腔ケア、ご家族への介護指導など実施した。
 月別摂食機能療法介入件数は、図4に示すとおりでのべ2,534件で歯科医の指示のもと、摂食嚥下評価、摂食嚥下訓練、食事のモニタリング、食事形態の評価など行うとともにチームアプローチを行い、摂食嚥下機能の維持・向上、誤嚥性肺炎のリスク管理に努めた。介入患者は、カンファレンスに参加し、多職種とともにゴール設定に向けて取り組んだ。
 教育・研修活動としては、法人内では、新人スタッフや中途採用者向けの口腔ケアの研修会の実施や病棟でのミニ勉強会を行い、院外に向けてコメディカル対象の口腔ケア研修会を実施し、口腔ケアの必要性や病院での歯科衛生士の役割について報告した。
 情報提供については、高知中央圏脳卒中連携パスをはじめ、転院先や地域歯科に対し、よりよい口腔内環境が維持できるように口腔ケアの継続や退院後の歯科受診に繋げるよう積極的に情報提供行い、担当者会にも参加し歯科的視点から意見を述べた。

■課題
 歯科衛生士は、今後もチームの中で専門性を発揮しながら、他職種と連携を図り、患者のオーラルマネージメントを行い、口腔内環境の維持・改善や食べるための口づくりの支援を行っていきたい。回復期の歯科衛生士の役割としては、生活期へシームレスな口腔内環境が維持できるように繋げ、医科歯科連携の一助となるように関わりながら、超高齢社会の中で、口腔を通して、認知症患者への対応や全身の関わりについて情報発信しながら、口腔ケアの普及に努めたい。また、口腔アセスメント表や歯科衛生士マニュアルの見直しも行い、質の向上を図りたいと考える。

  • 図1図1
  • 図2図2
  • 図3図3
  • 図4図3