デイケアメンタル

室長 川渕 忠義

はじめに

 2017年(平成29年)は、昨年度に続き、若い世代の利用者と長期化しがちな高齢の精神障害者の混在型デイケアの運営を続けながら、今後のデイケアの在り方について模索した一年であった。平成30年の診療報酬の改定に備え、前回よりもさらに大幅な変化を求められることが予測されているなか、これまでの取り組み以上に就労支援サービスへの移行促進により、漫然としたデイケア利用の抑制をするべく若年者層向けの目的別、疾患別プログラムの立ち上げや高齢の利用者の介護保険サービスへの移行促進をおこなうことを重点課題として取り組んだ。

運営状況

 2017年は、3月より臨床心理士が育休より復帰、心理士が2名となり5名体制での運営であったが、3月末、臨床歴10年以上の作業療法士1名が退職となった。新年度4月より臨床心理士2名のうち1名が総合心療センター心理室専任となり異動。退職した作業療法士に代わって、新たに以前所属した経験のある作業療法士1名が配属。スタッフ構成としては、作業療法士2名、看護師1名、臨床心理士1名の4名体制での運営となった。職種については、多様な精神疾患に対応するため3職種は維持することができたが、強いて希望を挙げるならば、今後の運営展開を考えるとソーシャルワーカー(PSW)の配置が望ましく、就労支援事業所や他のサービスへの移行、介護保険サービス等他機関との連携強化するうえでは必要不可欠な職種であるため、早い段階での確保を目標に今後の課題としたい。
 特長としては、全員が臨床歴10年以上の中堅スタッフを配置、経験豊富な作業療法士をチームリーダーとして、各々のスタッフが主体的に運営に携わる構造となっている。ある程度の管理業務もリーダーへ委譲、コスト管理や利用者のニーズに合わせた運営等を意識しながら、専門職にとどまることなく職業人、組織人としての経験を積むことが可能である。また昨年、大幅な変更をおこなった外来講師枠であるが、3名体制は変更なく、現利用者のニーズに沿ったプログラム運営を心がけ取り組んだ。

 デイケアの転帰をグラフ(1)に示した。

 退所者転帰として、退所者数は53名で精神科入院が18名で最も多かった。退所理由のトップが精神科入院という結果は好ましいことではないが、母体である総合心療センターの役割はスピード感のある急性期病院の位置づけであるため、早期退院の促進をより加速させる流れの中で、急性期を脱したばかりのケースをデイケアや地域で支えることが求められている。一定のケースについては、地域生活でのストレスが要因となり、病状を崩すケースが多く、退院支援の充実と地域定着支援の見直し等が課題となる。次に就労・復学が15名となっている。事業所(A型、B型、就労継続)、一般就労(アルバイト就労)、障害者雇用への移行が多く、20、30代の利用者の多くは就労目的であるため、次年度は通過型のデイケア運営を強化し、増加を目標にしたい。また利用者のなかには、就労支援事業所と並行してデイケア利用されるケースも多く、就労支援事業所と連携し慎重に移行していく風土が確立されつつある。
 次に多かったのが中断ケースの8名であった。動機づけが不十分なケースが多く、利用者意向の確認を丁寧におこない、精度の高いアセスメントの実践が必要であると考える。
 また他のサービス移行が6名と例年に比べて増加している。デイケア利用10年以上の高齢の長期利用者の介護サービスへの移行が多かった。内訳としては、70代の利用者が多く、デイケア通所が20年近くになるケースもみられた。慣れ親しんだデイケアから田野さーヴスへ移行することは統合失調症の方にとっては、かなりのストレスとなるため、年単位での丁寧かつ慎重なかかわりを実践できた成果といえる。また、高齢の利用者は精神疾患のみならず、身体レベルの低下や認知機能の低下したケースが多く、アセスメントと適切なタイミングで然るべき支援内容の提示と連携が何より求められる。次年度も引き続き強化したい点である。

 次に、デイケア利用者総数をグラフ(2)に示した。

 年間利用者総数は、過去最低を更新した。通過型デイケアとして一日30名を目標に取り組んだが、年々入所者は減少していることが最も影響していると示唆される。要因としては、全体的な紹介患者数の減少があげられる。紹介元データからもわかるように、ここ数年、当院の精神科医の増員がなかったことから、外来での新患受診者数は減少しつづけており、新患からの今後の課題である。また他施設移行や就労へ繋がるケースが多く、退所数自体は例年と変化なく、総数自体が減少したかたちとなった。しかし、結果として退所者が治療を終了し地域へ繋がっていくことは役割をしっかりと実践できている結果とも思われ、増加運営の安定化を図る上では、回転率を上げ、一定の利用者数を維持するためには展開するプログラムを充実させること、個別のケアの充実が求められる。そのためには、各スタッフがスキルアップはもとより、積極的に運営に携わる構造へシフトしていく必要がある。次年度は、発達障害専門デイケアプログラムの立ち上げを予定している。今後のデイケアの在り方を検討していくなかで、医療型のデイケア運営を継続する。
 役割の委譲を進め、各スタッフが受け身でなく、自らが行動変容できる環境づくりを管理者として力を入れていきたい。

 新規利用患者の紹介元内訳をグラフ(3)に示した。

 今年度の入所者は総勢40名、減少傾向は続いている。紹介元内訳では、入院からの紹介が最も多く、外来からの紹介率については、総合心療センター外来新患数の減少が影響していると考える。今後も外来医師の増員は見込めないため、他院・クリニックからの紹介率をアップさせることでカバーしていきたい。他院・クリニックからの紹介については、例年と比べ減少している。当デイケアの特長や現在、他院やクリニックから通所している利用者の治療経過や連携に力を入れ信頼されるデイケアを目指し、運営の安定化を図っていきたい。
 外来部門(在宅支援)については、外来看護、相談室、訪問看護ステーションとの連携強化が重要であり、地域移行、地域定着、次へのステップの場としての機能を充実させ、外来通院のみの患者でデイケア利用に至っていないケースなどへは積極的にアプローチをおこなっていきたい。
 入院部門については、病状悪化や休養目的の入院者が多く、今後も紹介率の確保は必須であるため、昨年同様、3ヶ月の入院(急性期)治療を脱したケースについては、病棟との連携(病棟カンファレンスの実施、担当看護師との情報交換等)をおこない、早期からの介入をおこない、退院後に安定した通所ができるよう入院中からの退院支援にも積極的に介入していきたい。

 デイケア新規導入患者の疾患別内訳をグラフ(4)に示した。

 疾患別では、統合失調症が最も多く、入院からのケースが殆どを占めている。次に多かったのは、神経症圏で特に引きこもりのケースが増えており、精神科デイケアの治療空間を次への移行の場所として利用するケースが多い。ひきこもりのケースについては、個別ケアと小集団を軸に展開していく必要を感じている。発達障害については、ここ数年、一定の割合で推移している。今後は多様な疾患に対応することができる精神科デイケアを目指し、集団を利用しながら個別支援の充実を図っていきたい。特に、今年度後半から準備をしている発達障害専門デイケアプログラムの立ち上げに力点を置き、当デイケアの強みとして運営できるよう努力したい。

おわりに

 デイケアメンタルにおいては、大きく方向性を変換することはなく、これまで同様、利用者、各世代におけるリカバリー(回復)をコンセプトに運営を続けていきたい。そのためには、個別支援の充実、小集団でのかかわりをとおして社会へつなぐ準備期間としての機能を展開していくことが重要と考える。また、高齢者層と若年者層の混在型デイケアとしての機能は維持しつつ、地域移行、地域定着を促進し、他機関との連携強化に努めたい。

  • グラフ1グラフ1
  • グラフ2グラフ2
  • グラフ3グラフ3
  • グラフ4グラフ4