総合診療科

部長 杉本和彦

2014年1月から総合診療科を新設し、2015年2月からは浅羽宏一医師を迎え、2人体制となりました。当院では細分化された高度な先進医療を担う一方で、地域の総合病院としての役割も果たしています。各専門診療科は多くの予約再診と紹介患者さんの診療を行っているため、紹介がなく、比較的診療時間のかかる患者さんを中心に、ER外来および総合診療科外来で診察させて頂いています。

近年、高齢化社会を迎え慢性疾患が増加するなど、医療に対するニーズも大きく変化しています。患者さんの抱える健康問題も、必ずしも一つだけのからだの病気とは限らず、いくつもの病気を同時に抱えていたり、心理的・社会的な問題の方が重要だったりする場合も多くなってきています。また、体の不調を自覚したときに、体がだるい、微熱が続くなど、どの臓器が原因なのか患者さん自身にはよくわからない場合も少なくありません。原因が明確でない症状の方や複数の臓器にまたがるような疾患の方、あるいは風邪などのありふれた病気(common disease)の方など、専門性が明らかではなく、どの診療科に受診すればいいのか分からない患者さんも多く来院されています。

総合診療科では、このような患者さんに対応するための、総合診療外来を開設しています。総合診療科では全人的医療を目指し、外来ではできるだけゆっくりお話しを聞き、医学的な問題点、環境面の問題点などを抽出し、一つずつ問題を解決しながら普段の外来ではできないような綿密な問診、身体所見を行っています。診断のついていない症候や健康問題を有する患者さんに対しては、心理・社会的問題を含めた臓器横断的な診療を行い、原因臓器に限定されない包括的な切り口での診療を実践し、的確な診断を行うことに努めています。

また様々な疾患に対して、西洋医学ではカバーできない症状や疾患に対して、漢方医学の理論に基づいた治療を行っているのも、当科の特色のひとつです。種々の疾患を対象としていますが、疾患の種類や程度によっては、現代医学的な治療をお勧めする場合や、 現代医学的な治療を併用する場合があります。

また当科では、総合診療医育成と地域への医師派遣により、地域医療支援を目指しています。全国のへき地・離島の医師は非常に不足しているのが現状です。地域基幹病院においても救急対応能力を有する総合診療医が必要とされており、地域との循環の中で医師を育てながら、病院前から地域に戻るまで、あるいは地域に戻ってからも、急変時などでかかりつけ医を通じてその患者さんと関わり続ける、そんなシステムの構築が目標です。現在は西土佐診療所へ月3日間程度の診療支援を行っております。当院のERでは、「軽症から重症まで、多くの診療領域にまたがる、症状と疾患」が診られます。また内科では、一貫して総合内科医の意義を喚起され実践しており、この体制は、若手医師に救急対応能力を含めた多様な教育を行う事ができ、豊富な経験を積ませる事で、総合診療医の専門性の一つである臨床推論を磨くには最適な環境だと感じています。高知大学・岡山大学・東京女子医大等の医学生実習を積極的に受け入れ、患者さんにご協力いただきながら、全人的な医療が提供できる環境作りと人材育成に取り組んでいます。

今後は、必要に応じ入院での診療も行っていく予定です。特に発熱、誤嚥性肺炎、整形内科的な外傷の患者さん等、各専門領域の狭間をしっかりと埋め、患者本位の人を診る診療科として充実させる予定です。外来あるいは入院診療を通じて患者さんの身体面だけではなく心理面や社会面にも配慮した全人的医療を引き続き実践することを目標と、かかりつけの医師と緊密に連絡を取りながら、特定機能病院としての高度な医療を提供する窓口としての役割を果たしていきたいと考えております。