糖尿病内分泌代謝内科 / リウマチ・膠原病内科

部長 公文  義雄

当科での診療の役割は当該分野の入院・外来患者の支援であるが、4月以降は野島滋先生が転出されたため、近澤宏明先生と、総合診療科の浅羽宏一先生と3人で担当させて頂いた。前年より一人少ない布陣で、増加している入院ベッド数と外来患者数に対応できたのは偏に多くの先生方とコメディカルを含めたスタッフのサポートによるものである。糖尿病などの生活習慣病は1型糖尿病など血糖コントロールが難しい症例や合併症例を除き各先生方にご加療頂き、希少な内分泌疾患やリウマチ性疾患を当科にお声をおかけ頂いているのが現状である。また、当該科領域の慢性疾患の急性増悪状態をERで拾い上げて頂いており嬉しい限りである。更に、研修医が当科でも研修してくれるようになり、多忙な中でも我々のアクセントとなっている。血糖コントロールにおけるインスリンの有用性や低血糖のリスクについて勉強して頂き、研修医の研修のみならず病院の診療の底上げにも繋がるものと理解している。

糖尿病センター、リウマチ・膠原病センターへの通院延べ人数(図1)をお示しする。2016年度は当センターに7569人が通院され、2015年の5420人から増加している。うち、かかりつけ医など当院の連携施設から229例の新患患者をご紹介頂き、2015年の167例から増加しており、9割以上がリウマチ・膠原病センターへのご紹介であった。当センターではリウマチケア看護師と糖尿病療養指導士が各1名常在している。病歴や診療に向けての情報収集や治療の説明に時間をかけて頂いており、フットケアにも対応して頂いている。更に、薬剤師、栄養士、PT、ソーシャルワーカーも診療に加わって頂いたお陰で診療に厚みができ、看護師の介入患者数は前年に比べ平均で32%増加している(図2)。

糖尿病が生活習慣病であることはご存じのとおりであり、患者を特定して経過を見ると季節の変動があることが既に知られている。約2000~3000人の不特定多数の当院通院外来患者のHbA1cデータ(図3)では、8%以上の不良の頻度と7%未満の良好の頻度は鏡像関係にあり、毎年1~3月の変動見ると糖尿病は食事と運動にまさに直結した生活習慣病であることを実感できる。これで見ると1~3月の血糖コントロールの悪化はある意味止むを得ないところがある。当院での糖尿病治療薬の推移(図4)をみると、何といってもDPPIV阻害薬の有用性は際立っているが、インスリンも臨床現場では大変重要な治療薬である。近年、インクレチン療法の充実により低血糖患者が減っているかのような話を時に耳にするが、インクレチン療法が始まる前後の9年間の入院を要した低血糖症患者数の変遷(図5)を見ると、必ずしも減っていないことがわかる。このような低血糖症を減らすには高齢者糖尿病の血糖コントロール目標値において下限値を守り、インスリンやSU剤の使用やその使用量については今まで以上に注意を払うべきである。

外科系病棟では日々搬入される外傷患者に対し、薬剤師を中心にした周術期血糖コントロールチームが介入して活躍してくれている。入院患者の高齢化率は当院では8割を超えており、高齢者の血糖コントロールに於いてはスライディングスケールによるインスリン投与は可能な限り使用を控えるようガイドラインが出されている。当チームのスケール使用日数は4日迄短縮されており、土曜日曜を含めて評価していること、術前から介入していることを考えると比較的短期間の使用になっている可能性がある。この流れが病院全体に広がっていくことを願いたい。

リウマチ・膠原病は予後のよい疾患ばかりではなく、また、希少疾患・難病と理解されており、リウマチ専門医は高知県で僅か30人と少ないため当院(現在2名)へのご紹介が増えてきている。リウマチ・膠原病の2016年の我々の診療活動の総括は高知県医師会 県民健康フォーラム2016「リウマチは治せる病気に ~チーム医療の現場から~」の市民公開講座を開催させて頂いたことに尽きる。オレンジホールに約700人の聴衆にお集まり頂き、内科、整形外科からの講演を頂いた後、当院の看護師・薬剤師・ソーシャルワーカーにも参加して頂いてチーム医療での取り組みをQ&A方式でお話して頂いた。リウマチ診療は進歩したが、治療に必要であるのは多くは患者の努力であり、あとは患者の背中をそっと押して寛解に導く、ほんの少しの我々のサポートである。寛解に大きく貢献する生物学的製剤の当院での使用状況(図6)は未だに右肩上がりであり、今後もまだまだ同じ動向が続くことが予想される。更なるスタッフの教育と患者サポートの構築が必要と考えられる。

当該疾患の診療を通して患者さんに喜んで頂くことが我々の目的の一つでもある。チーム医療を充実させ、地域医療連携施設の先生方と連携して診療に当たり、地域医療に貢献、ひいては高知の医療レベルの向上に繋がれば嬉しいことである。今後も地域医療支援病院として充実を図りたいと考えております。

 

  • 図1
  • 図2
  • 図3
  • 図4
  • 図5
  • 図6

 

 

 

■業績

学会発表

学会名 発表日
演題 演者
第60日本リウマチ学会総会・学術集会 4/21-23/2016
「シクロフォスファミドパルス療法後にヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の再活性化をきたした混合性結合組織病の1例」
  • 近澤宏明
  • 公文義雄
第59回日本糖尿病学会年次学術集会学会名 5/19-21/2016
「薬剤師主導の周術期血糖コントロールチームが治療介入した新規発症糖尿病例の臨床像」
  •  大年加純
  • 川村知子
  • 筒井由佳
  • 公文義雄
日本脊椎関節炎学会 第26回学術集会 9/24/2016
「扁桃摘出術が有効であった脊椎関節炎の2例」
  • 近澤宏明
  • 浅羽宏一
  • 土井彰
  • 公文義雄
第55回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会 11/5-6/2016
「生物学的製剤静脈内投与に起因するアレルギー反応の発現症例に関する検討」
  •  宮崎俊明
  • 公文義雄
日本糖尿病学会 中国四国地方会第54回総会 11/11-12/2016
「胸腺腫発症後に多腺性自己免疫症候群3型を合併した1例」
  •  近澤宏明
  • 浅羽宏一
  • 山本彰
  • 公文義雄
「外科系病棟における薬剤師主導血糖コントロールチームの取り組み」
  • 大年加純
  • 川村知子
  • 筒井由佳
  • 公文義雄
「当院における1型糖尿病患者に対する取り組み」
  •  横田太郎
  • 公文義雄
  • 伊与田美香
  • 松本有里
  • 鈴木絵梨奈
  • 國澤雅裕
  • 川渕正敬
  • 田中健太郎
第27回日本リウマチ学会 中国四国支部学術集会 12/2-3/2016
「最近経験した巨細胞性動脈炎の2例」
  •  公文義雄
  • 近澤宏明
「B型急性肝炎罹患後に関節痛を発症し、15年後に多発性筋炎と診断しえた1例」
  •  近澤宏明
  • 公文義雄