外科

部長 北村 龍彦

2016年の近森病院外科は昨年同様、一般外科、消化器外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、形成外科などの症例を担当し、外傷や急性腹症を含むACS(Acute Care Surgery)の対応および癌・良性疾患の待機手術など手術前から周術期、早期退院まで多職種がチームで関わり、悪性疾患の術後フォローや化学療法などもチームで取り組んでいる。

診療体制について振り返ると、外科は八木 健部長、坪井 香保里科長、辻井 茂宏科長、津田 昇一医師が変わりなく、新たに上村 直医師が赴任され、常勤医師5名体制で診療に臨んでいる。また、順天堂大学医学部附属順天堂医院 肝胆膵外科の塚田 暁医師は昨年同様、毎週水曜日に非常勤で勤務されている。呼吸器外科は、山本 彰部長のほか、高知大学医学部外科学(外科2)の穴山 高嗣講師が今年も毎週木曜日に非常勤で勤務され、手術や気管支鏡などの診療を担当して頂いている。また、新たに廣橋健太郎医師が呼吸器外科科長として赴任された。形成外科は、赤松 順部長、杉田 直哉科長、木村 祐介医師が変わりなく、3名体制で診療に臨んだ。また、乳腺・内分泌外科と化学療法は、昨年と同様、田中 洋輔部長が担当している。

初期研修医の外科研修については、平成28年度卒業の竹森 大悟医師(1年目・2016/4/18~5/29)、太田 雄飛医師(1年目・2016/6/27~7/31)、平野 孝士医師(1年目・2016/8/1~10/2)が外科研修を行った。(外科の人事に関しては資料1を参照)

外科症例の患者統計を振り返ると、退院患者数は893名で昨年に比べて79名増加した。(図1)、平均在院日数は13.59日と、昨年から僅かながら増加した。

手術数は、外科全体では同時に行われた複数手術を算定すると1109件で83件の増加であった。詳細な内訳は各部長に譲るが、消化器外科は549件で、55件増加、鏡視下手術は216件で、29件の増加であった。呼吸器外科は60件で、2件の減少。うち鏡視下手術は31件で9件の減少であった。形成外科は489件で33件の増加、乳腺外科は11件で3件減少であった。(図2)一方手術件数全体は917件であり、昨年から78件増加した。内訳をみると時間帯別(時間内外・深夜)では、平日の時間内が856件で前年比67件の増加、待機手術が806件と53件増加した。年齢別では、70歳以上の高齢者は522件と148件の増加、69歳以下が395件と70件の減少であった。(図3~図6)外科の入院患者は増加し、手術件数も増加した。特に平日の待機手術と鏡視下手術が大幅に伸びているのが特徴である。

外科の死亡診断書のレビューでは、死亡退院が14件(男性7件・女性7件)、退院患者に占める割合は1.6%であった。医療行為に関連した死亡はなく、死亡退院のうち8件57%が悪性新生物であった。在宅看取り症例は0件であった。術後1ヶ月以内の死亡は4件、入院後24時間以内の死亡は3件であった。

2016年の外科と呼吸器外科の業績は、別紙のごとく論文が2編、学会発表が全体で24演題である。今年は研修医の発表が10編あった。

2016年を振り返ると、診療報酬制度改定の影響で、全ての医療機関の運営や体制の見直しが進んだと言え、近森病院も例外ではなかった。理事長や管理部長が述べられていると思うので、詳細は割愛させていただく。病院経営のスリム化・コスト削減と患者安全・医療の質向上はいつの時代でも医療者として心すべきことである。また、国が進める地域医療構想や地域包括ケアシステム・健康・医療戦略、高知県の第7次保健医療計画などへも臨機応変に対応する必要がある。

筆者自身にとっても2016年は忘れられない年となった。近森病院の体制の見直しで、新旧交代の時期との判断で12月を持って20年間勤めた副院長を辞し、また、定年となったことである。思い起こせば1986年にリハビリテーション科の石川誠先生に連れられて近森病院に赴任し、近森院長に成人の外科を教わりながらで外科診療を始めた。多くの方々に支えられ外科医としてまた種々の基盤整備に努めてきたと思う。院外の仕事や役職も数多く経験させていただいた。今後は理事として、外科医師としての業務は引き続き継続し、各種委員会の業務は若手に交代していく予定である。また外科の実質上のトップは八木部長であり、今後は八木部長に外科に関する種々の役割を引き継いでいただく予定である。

昨年と同様、医療を取り巻く環境は日々進化し続けており、医療以外の事にも目を配り、志高く、常に人格の涵養が求められる。しかし、医療の本質、医師の基本は変わらず、患者さんに真摯に向き合い、患者さんへの説明と同意に基づき、皆さんとの信頼関係を築き、自身の知識と技術を高めつつ、医療安全に配慮し、医療の質を高めて全身全霊で成果を残していく事に尽きると考える。これからも「For You, For All」の気持ちで「Noblesse Oblige:ノブレス・オブリージュ」を果たしつつ、地域医療に貢献できる外科であり続けたいと願っている。

  • 図12017年報 外科 図1
  • 図22017年報 外科 図2
  • 図32017年報 外科 図3
  • 図42017年報 外科 図4
  • 図52017年報 外科 図5
  • 図62017年報 外科 図6

■業績

学会発表

学会名 発表日
演題 演者 
   
第71回中国・四国形成外科学会学術集会  2月2日
「直腸癌を合併した難治性坐骨部褥瘡の治療経験」 近森病院形成外科

  • 木村祐介
  • 赤松順
  • 杉田直哉
  • 北村龍彦
  • 近森正幸

大阪医科大学
形成外科

  • 上田晃一
第52回日本腹部救急医学会総会  3月3〜4日
「外傷性小腸穿孔の1例
-開腹遅延を防ぐには-」
近森病院

  • 福島大
  • 辻井茂宏
  • 川本常喬
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦

高知大学医学部
外科学講座外科1

  • 花崎和弘
「虚血性腸炎からの繰り返す消化管出血に対して集合的治療を行った1例
―腹部救急でのチーム医療の実践―」
近森病院
外科

  • 田島萌夢
  • 津田昇一
  • 辻井茂宏
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
「見落とされた大腸穿孔の1例に学
-腹部救急をみがく初期研修とは-」
近森病院 外科

  • 矢野慶太郎
  • 津田昇一
  • 辻井茂宏
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
「転倒により生じた鼡径ヘルニア嚢内回腸穿孔の1例」 近森病院 外科

  • 坂西誠秀
  • 津田昇一
  • 辻井茂宏
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
第90回日本感染症学会総会・学術講演会  4月15〜16日
「病棟内で発生した、無莢膜型インフルエンザ菌による上気道炎のアウトブレイク:症例シリーズ研究」
  • 石田正之
  • 鈴木基
  • 柳井さや佳
  • 吉永詩織
  • 佐々木美樹
  • 近森幹子
  • 白水里奈常彬
  • 大石和徳
  • 大西真
  • 森本浩之輔
  • 北村龍彦

近森病院
感染症内科
院内感染対策チーム

長崎大学
熱帯医学研究所
臨床感染症学分野

国立感染症研究所
細菌第一部
感染症疫学センター

第42回日本臨床外科学会高知県支部会  5月28日
「最近経験した下腿皮下血腫の4例」 近森病院
形成外科

  • 木村祐介
  • 杉田直哉
  • 赤松順
  • 北村龍彦
  • 近森正幸
「腹腔内遊離ガスを繰り返した1例」 近森病院
外科

  • 竹森大悟
  • 坪井香保里
  • 上村直
  • 広橋健太郎
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 八木健
  • 山本彰
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦
「当院での外傷性腸管損傷の検討」 近森病院
外科

  • 辻井茂宏
  • 上村直
  • 津田昇一
  • 廣橋健太郎
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 山本彰
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦
第69回高知県医師会医学会  8月20日
「EGFR-TKI使用後に耐性を獲得しRe-biopsyにてT790M変異陽性を認めた4症例」 近森病院
呼吸器外科

  • 廣橋健太郎
  • 山本彰

近森病院
呼吸器内科

  • 中間貴弘
  • 石田正之

近森病院
外科

  • 北村龍彦
第14回日本医療マネジメント学会高知県支部学術集会  8月28日
「口腔ケア・嚥下訓練時の感染対策」 近森病院
言語療法科

  • 小林早紀

理学療法科

  • 入野稔也
  • 國澤雅裕

ICD

  • 北村龍彦
第91回中国四国外科学会  9月1〜2日
「消化器外科医がAcute care surgeryをやって見えてきたこと、まだまだ見えないこと」 近森病院

  • 辻井茂宏
  • 上村直
  • 廣橋健太郎
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 山本彰
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦

高知大学医学部
外科学講座外科1

  • 花﨑和弘
「地方都市における当院での Acute Care Surgery の現状」 近森病院
外科

  • 上村直
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
「心停止を来たしたS状結腸穿孔に対して damage control surgery で救命し得た1症例」 近森病院
臨床研修部

  • 竹森大悟

外科

  • 上村直
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
第72回中国・四国形成外科学会学術集会 9 月11日
「前額部に発生した Steatocystoma simplex の1例」 近森病院
形成外科

  • 杉田直哉
  • 赤松順
  • 木村祐介
  • 北村龍彦
  • 近森正幸

大阪医科大学
形成外科

  • 上田晃一
第43回日本臨床外科学会高知県支部会  11月19日
「当院における気胸患者の検討」 近森病院
外科

  • 廣橋健太郎
  • 上村直
  • 津田昇一
  • 辻井茂宏
  • 坪井香保
  • 八木健
  • 山本彰
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦
「当院での絞扼性腸閉塞症例の検討」 近森病院
外科

  • 大田雄飛
  • 上村直
  • 津田昇一
  • 廣橋健太郎
  • 辻井茂宏
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 山本彰
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦
第78回日本臨床外科学会総会  11月24〜26日
「地方都市における当院での Acute Care Surgery の現状」 近森病院
外科

  • 上村直
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
「当院での外傷性腸管損傷の検討」 近森病院
臨床研修部外科

  • 城西誠秀
  • 上村直
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
「非閉塞性腸間膜虚血に対して Damage control surgery を行った4例の検討」 近森病院
臨床研修部近森病院
外科

  • 松浦拓也
  • 上村直
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
「心停止を来たしたS状結腸穿孔に対して damage control surgery で救命し得た1症例」 近森病院
臨床研修部近森病院
外科

  • 竹森大悟
  • 上村直
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
「十二指腸潰瘍穿孔に対する治療の比較
―手術か保存か―」
近森病院
臨床研修部近森病院
外科

  • 久雅行
  • 上村直
  • 辻井茂宏
  • 津田昇一
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 北村龍彦
第57回日本肺癌学会学術集会  12月19〜20日
「肺葉切除後再発例にEGFR-TKI/化学療法を施行しT790M陽性扁平上皮癌に転化したと考えられた肺腺癌の1例」 近森病院
呼吸器外科

  • 山本彰
  • 上村直
  • 津田昇一
  • 廣橋健太郎
  • 辻井茂宏
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦
「化学療法で5年間コントロールしOshimertinibを使用するに至ったStageⅣ肺腺癌の1例」 近森病院
呼吸器外科

  • 廣橋健太郎
  • 上村直
  • 津田昇一
  • 辻井茂宏
  • 坪井香保里
  • 八木健
  • 山本彰
  • 田中洋輔
  • 北村龍彦

論文発表

冊子  
タイトル 著者 
   
病原微生物検出情報
Infectious Agents Surveillance Report(IASR)
Vol.37 No.6(No.436) 2016年6月発行
 
「高知市内の急性期病院で発生した無莢膜型インフルエンザ菌による急性呼吸器感染症の集団感染事例」 近森病院

  • 石田正之
  • 柳井さや佳
  • 吉永詩織
  • 佐々木美樹
  • 近森幹子
  • 北村龍彦

長崎大学
熱帯医学研究所
臨床感染症分野

  • 鈴木基
  • 白水里奈
  • 内堀京子
  • 森本浩之

国立感染症研究所
細菌第一部

  • 常彬
  • 大西真

国立感染症研究所
感染症疫学センター

  • 大石和徳
病理と臨床・別冊
2016 vol.34 no.11
東京/文光堂/本郷
 
「病理解剖の現在―医療における相互検証文化を築くため―
【病理解剖と教育】CPCレポート、研修医教育」
近森病院

  • 円山英昭
  • 浜重直久
  • 北村龍彦
  • 近森正康