地域医療連携センター

センター長・消化器内科部長 市川博源

 

今年も、地域医療連携に対する注目度は増すばかりであった。

平成28年度診療報酬改定は、全国の医療機関や施設の「機能分化」をこれまで以上に強く求めるものとなった。当院のような高度急性期病院は、多くの重症患者さんを迅速に治療し、回復期・慢性期や在宅といった次のステージに1日でも早く移行していただける体制づくりをさらに加速せねばならない。

地域医療連携に係る改定項目として、旧退院調整加算を強化した「退院支援加算」が新設され、連携している関連機関の職員がお互いを訪問して一定回数以上面談する等、密度の濃い連携を行うことが要件に加えられた。当センターでも以前から取り組んできた「顔の見える関係づくり」がこれからの地域医療連携におけるスタンダードとなり、改定後は交流もより盛んになることが予想される。今後も定期的に訪問活動を続け、より良い関係の構築に努めていきたいと思う。

また新たな試みとして、紹介予約のフロー図や各診療科医師のプロフィールを分かりやすく掲載した「地域医療連携ガイド」を企画課・広報部門の協力の下作成し、今年8月に県内約480ヶ所の医療機関へ配布した。連携先の皆さんからは「予約の流れが分かりやすい」、「どの診療科に紹介するか検討する時に役立つ」といったお声をいただいた。適宜内容の見直しを図りながら、毎年度更新して配布を継続していきたいと考えている。

当センターの部門別の概況は、以下ならびに別表をご覧いただきたい。

<前方連携(患者さんの受け入れ)について>
病院全体の動きとしては、外来患者さんの増加および救急受け入れ体制の見直しによる救急患者さんの増加を背景に、4月からは447床へ稼動病床を増床、そして9月からは452床がフル稼働となった。

当センターを経由しての紹介予約患者さんの受け入れ件数は年間合計3,727件で前年比とほぼ同等であった。再診患者さんの増加割合が多く、ルーティン予約の場合多くが当センターを経由しないことが要因と思われる。また、やむなく紹介をお断りせざるをえなかった件数については、短期間ではあるが満床状態が続くためにお断りが増えた月が見られたものの、前年比ほぼ横ばいで推移している。

地域医療支援病院の紹介率は、年間平均65.96%と指定基準である50%以上を維持できている。病床稼働率は、救急患者さんの増加の影響もあって12月末時点で93.7%と上昇傾向にある。しかしながら平均在院日数は年間平均で15.2日と明らかな短縮に至っておらず、一般病棟の「重症度、医療・看護必要度」の維持も含めたベッドマネジメントが重要な課題である。

<後方連携(患者さんの退院・転院支援)について>
当センターの退院支援部門が退院・転院支援に介入した件数は年間合計で2,042件あり、前年比で大きく増加している。また、外来患者さんに対する介入件数は96件であった。病院の特性上緊急入院の割合が多く、高齢独居や生活困窮といった社会的問題を抱える重症患者さんへの支援は増加傾向にある。ソーシャルワーカーが介入するケースは退院患者全体の20%程度であるが、急性期だけでなく退院・転院後の生活を意識した支援が出来るよう各病棟スタッフと協力して引き続き取り組んでいきたい。

また、今年度から新たに退院支援加算Ⅰを取得し、各医療機関や施設との連携をさらに充実していけるよう訪問活動も計画的に進めている。急性期という短い期間の中ではあるが、患者さんに少しでも多くの選択肢を提供できるよう退院・転院先の情報収集にも努めていきたい。

<入退院係(入退院センター)について>
本年12月5日より、旧入院窓口の機能を拡充し、「入退院係(入退院センター)」として当センターに統合した。

従来クラークのみで行っていた入院手続きに看護師が加わり、必要に応じて早期からの各専門職の介入に繋げることが可能となった。また病棟で行っていた書類作成や予約入院患者への説明の充実、退院時のお迎え待機場所の確保等の役割を担っている。旧総合診療科の場所を利用させていただいたことで、以前より待合スペースも広がり、個別の面談カウンターを設けるなどプライバシーに配慮した手続きが行えるようになった。患者さんにかかる負担やストレスを少しでも軽減していけるよう取り組んでいきたい。

<人事面について>
平成28年12月末現在で医師1名・看護師7名・SW16名(非常勤含む)・医事課3名・クラーク4名・その他事務2名の総勢33名で業務を行っている。12月からの入退院係の加入により、スタッフ数が増加した。詳細は別添の組織図をご参照いただきたい。

<終わりに>
先日、平成29年1月に当院院長・副院長が交代することが発表された。

来年からは新体制の下、当センターも多くの課題や変化し続ける医療情勢と向き合いながら、さらに活発に動いていかなければならない。何より、スタッフが一丸となり常に研鑚しながら働ける環境づくりが大切だと考えている。

患者さんからも、関連機関の皆さんからも身近に感じていただける近森病院をつくるために、「無くてはならない地域医療連携センター」で在り続けられるよう、来年も頑張っていきたい。

【資料】

  • ①前方連携
      /紹介患者数推移
  • ②地域医療支援病院
     紹介率
  • ③病床稼働率
     推移
  • ④平均在院日数
     推移
  • ⑤後方連携
     /支援介入数
  • ⑥組織図

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