作業療法科

科長 中島美和

【はじめに】
平成28年は回復期リハ病棟の目標である「対象者の機能・回復の促進、生活障害の改善、円滑な家庭および社会復帰」の実践に向け、4病棟8ユニット体制の人員配置、主任を中心とした臨床チーム編成、新しい機器の導入等に取り組んだ。

【運営実績について】
1.人員について
4月には新入職員5名を迎え、各病棟13名(1ユニット6~7名)、外来配属は5名体制とし、ユニットのセラピストをまとめる療法士長は3名の主任を選出した。5年目以下のスタッフが過半数を占める一方で、中堅スタッフの産休・育休の出入りが多く、人員配置には工夫を要した。
2.患者数について
昨年退院した患者726名(新規:656名、継続70名)のうち、作業療法は725名の依頼箋が出ており、昨年同様ほぼ全例(99.8%)に実施している。対象患者の疾患別内訳は表1に示す通り、86%は脳血管疾患を占めている。毎月の実施単位数は表2に示す通りで、稼働率により増減はあるものの、365日の勤務体制で作業療法を提供している。作業療法は3.1単位であり、ほぼ昨年同様であった。
外来患者の実施者数は、実施単位は表3に示す通り200~300単位を推移しており、ほぼ例年通りであった。
3.事業計画について
回復期リハ病棟における作業療法は、心身機能の回復促進、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活活動(IADL)向上など、退院後の生活を予測した幅広いアプローチが必要となる。今年は主任を中心に、身体・ADL/IADL・高次脳機能・自動車運転・上肢ロボットの5つのチームを編成し、より専門性の高いアプローチの実践に向けて活動した。それぞれのチームでは、必要な評価の見直しや導入、マニュアルの作成、物品の管理等を行い、患者アプローチの質向上と業務改善に取り組んだ。
回復期では患者の機能回復とともに、能力向上や活動性向上の時期であるが、高次脳機能障害を伴うことも多いことから、日中の訓練と病棟生活の能力発揮に格差を生じる事が多い。そのため病棟でのADL評価や訓練を重視し、転倒リスクの高いベッドサイド・トイレ・入浴での評価や環境調整は多職種と協議しながら実践している。また朝夕の時間帯には病棟での早出遅出勤務を継続し、将来の自宅生活を想定したADLの介入や自立度の向上に努めている。
退院後は就労や家事、余暇活動を遂行する上で、自動車運転を必要とする患者も多いが、身体の麻痺や高次脳機能障害による注意・判断力の低下により、運転の獲得は困難な場合が多い。当院で導入している運転の模擬練習装置の使用は243件で、全体の3割を占めており、ハンドルやアクセル操作の動作練習とともに、危険予測や反応速度の評価を行い、患者へのフィードバックに活用している。9月に導入された上肢訓練ロボット装置は、中等度から軽度の上肢麻痺患者への使用を開始しており、上肢リーチ動作の反復により、機能や耐久性の向上や生活面での使用につなげる手段として活用を始めている。自宅復帰促進に向けた自宅環境の評価や動作確認は、多職種らとともに192件実施しており、退院患者のうち住宅改修は約3割、福祉用具は約4割に提案・導入されていた。
職員の教育面では教育ラダーの活用、新人教育プログラム、訪問リハ研修、主任・リーダーによる個々の臨床指導に取り組んだ。今年からは各フロアーの主任を中心に定期的な症例検討会を実施し、院外発表につながる機会も増えてきた。また4つの勉強会グループ(整形・活動分析・自動車運転・CI療法)は、リハグループ作業療法科の相互学習として継続した。

【おわりに】
今後も対象者の機能回復、能力向上に向け、様々な手法や手段を用いた実践、生活への定着に努め、退院後の家庭および社会生活を重視した質の高いチーム医療が提供できるよう、組織作りと作業療法の質向上に取り組んでいきたい。

  • 図1 疾患別
  • 図2 訓練実施単位数
  • 図3 外来延べ訓練単位数

 

学会発表

学会名 発表日
演題 演者
第14回高知県作業療法学会
「ADOCを用いて目標の共有と役割の再獲得を目指した症例」 丸岡 直輝
「Pusher現象によりトイレ動作に重介助を要した一症例」 福本 成美
「脳梗塞により認知症が進行した症例の散歩へのアプローチ」  井上 さくら
「車いす移乗の自立に向けたアプローチ ~安全操作に着目して~」  山本 諭
「家庭訪問により在宅復帰後の生活が共有出来るようになった一症例」  原 康平
「車椅子の安全操作が定着し、移乗自立となった一症例~注意障害・ワーキングメモリ低下についての一考察~」  横田 一将
第50回日本作業療法学会  9月9日~11日
「家族に迷惑をかけたくない!」生活行為向上マネジメントを用いて本人の想いから具体的な生活目標に繋がった一症例」  片山 結
第27回四国作業療法学会  11月26日~27日
「チェックシートの活用により麻痺側上肢の使用頻度が向上した
脳卒中片麻痺患者を経験して」
 高木 貴史