救急委員会

委員長 根岸正敏(救命救急センター長)

 

近森病院救急委員会は2002年に発足し、月に1回の定例会議を主体に活動を行ってきました。

そして、2011年5月16日に高知県から救命救急センターに指定されたのを契機に、
①外部関係機関との協議を行う救命救急センター連絡協議会(1回/年)、
②センター運営に関する基本方針を決定するための運営委員会(1~2回/年)、
③日常のセンター医療業務を円滑に進めるための救急委員会(1回/月)
と、3つの委員会に整理され、これまでの救急委員会はこの③の救急委員会に移行し引き続き活動を行っています。

この救急委員会は月に1回の定例会議として、主に以下の事項につき協議・検討を行っています。
・救急患者さんの受け入れ、お断り状況の精査 ならびに不応需症例の分析と対策
・地域連携室経由での患者さんの受け入れの現状の把握と円滑化
・ドクターカー、ドクターヘリの現状と適切な運用
・救急関連の各種講習会、勉強会の案内と報告
・高知県救急医療協議会での決定事項の報告
・心肺蘇生員会との連携による職員の教育基盤の作成
・近森病院 救急医療の質の向上 などです。

2016年のおもな活動内容は、

1.ERの診療体制
北米ER型の診療体制はこれまで通りで、救急車(ヘリも含む)搬入患者さん、walk in患者さんに加えて、予約外患者さん急変時の対応、紹介状のない患者さんもERで診療する体制をとっています。救命救急センターに指定されて5年半になりますが、3次救急のみに特化することなく基本的にこの原則を維持しています。
しかし、一般病床に空きがない場合には、三次救急を主体とした受け入れとしています。これまで、救急車の応需率は70~90%前後と低い水準で推移しておりました。不応需例の分析結果から、その主な理由は救急車受入れの重複や対応ベッド確保困難などでありましたが、2014年8月にヘリポート併設の新棟が完成し、ERが拡大されたこと、病院全体で増床となったこと、ベッドコントロールナース の配置などにより、応需率は確実に改善しており、救急車の搬入件数も徐々に増加傾向となっております。この結果、2015/2016年と何とか90%前後を維持しております。

2.心肺蘇生など教育関連
心肺蘇生委員会とも連携し、BLS(一次救命処置)およびICLS(二次救命処置)コースを定期的に開催し、職員の教育にも努めています。当院のICLSコースは、最新のガイドラインに沿ったコースであり、本年度で51回を数え、国内でも有数の開催数となっています。現在、最新のAHAガイドライン2015に対応したコース開催に向けてほぼ準備が整いました。
また、外傷系ではJATEC(外傷初期診療)、JPTEC(病院前救護)などのコースへも積極的に参加しています。特にJPTECは近森病院コースを年に1回、開催しています。
また、AHAガイドライン2015でも大きく取り上げられている、院内心停止の対応として、急変前のわずかな異常から早急に対応し、悪化を防ぐためのRRS(rapid response system)も立ち上がり、活動が開始され
ています。

3.救急隊との連携
高知赤十字病院、高知医療センターとの3病院の持ち回りで「救急医療症例検討会」を開催し、救急隊との活発な意見交換が行われています。救急救命士の気管挿管実習(おもに麻酔科)、救急救命士再教育実習も受け入れています。
2015年からは、①心肺停止前の輸液(主にショック症例)、②低血糖傷病者に対するブドウ糖投与、と救急救命士の業務が拡大され、今まで以上に多くの情報交換や密接な連携が必要になりました。オンラインの指示要請にも適切に対応できるよう、対応医師の教育も行っています。

4.地域救急医療情報システムの運営
2015年4月から、新しい高知医療ネットが運用されており、これにより2次医療機関、3次医療機関の受け入れ体制、また高次医療機関の対応状況が分かりやすくなりました。この影響もあり、2016年の救急車受け入れは、6,947件と過去最高を更新中です。

特にこの背景には、受け入れ強化のためにワーキンググループを立ち上げ、ベッドコントロールの強化や当直医の応援体制の充実など、実務者による意見交換などを重ねた結果、『救急の近森』を支える医師の熱意がさらに熟成したものと考えられます。
これからも、高知県の救急医療の問題点をきちんと把握し、県民の皆様から最も必要とされる、そして信頼される救命センターを目指していきたいと思います。