高知市北部地域高齢者支援センター えのくち出張所

所長 山本百合

1. はじめに
介護保険法の一部改正により、市町村が「地域支援事業」に取り組むこととなり、高知市でも平成28年10月から「介護予防・日常生活支援総合事業」が開始された。地域の住民同士がお互いに見守りや支え合いができるようなまちづくり「いきいきとした人・暮らし・まちづくり」をめざし、介護予防の受け皿としていきいき100歳体操以外に、住民主体のサロンや認知症カフェが開催されている。また、地域包括ケアシステムの構築に向けて、高齢者支援センターが中心となり地域ケア会議を開催し、地域ケアの質の向上を目指している。

2.実績 
出張所の主な業務である相談支援の実績は、相談支援のべ回数は1157件で、実人数は567名、訪問件数は647件(月平均54件訪問)で昨年よりはのべ件数は減少しているが、実人数や訪問件数は増えてきている。高知市の高齢化率は28.0%だが、担当地区は 29.8%(昨年は29.2%)で、年々増加してきている。独居や認知症などがある場合は、必要に応じて受診や市役所などの手続きなど同行することもある。

3.相談者の把握ルート(図1)
継続して関わる必要があるため、前年度からの継続者がほぼ半数を占める。新規の相談は、行政からの相談、本人・家族からの相談、民生委員、医療機関の順になっている。行政からの相談は、委託先である高齢者支援課、北部地域高齢者支援センター、生活福祉課からの相談があり、担当者と同行訪問することも多い。医療機関からはMSWや地域連携室、かかりつけ医から直接相談がある場合もある。また、日頃から連携をとっている地域の民生委員からの相談も多くあり、相談を受けてすぐに訪問したが、既に自宅で亡くなられていて、警察や関係機関へ連絡し対応した事もあった。
その他としては、知人、介護事業所、いきいき100歳体操の世話役からの相談があった。

4.相談支援方法(図2) 
支援方法は、半数が訪問(647件)で、その次は電話対応、来所、同行、会議となっている。新規の相談は必ず訪問して対応しているが、継続して見守りが必要な方は、電話で様子を聞くこともある。しかし、実際に訪問しないと解らないことが多いため、できるだけ訪問している。訪問すると高齢のため夫婦ともに支援が必要な場合やご本人だけでなく家族へも支援が必要な場合など、訪問先で複数の対象者に支援することも増えてきている。   来所相談も増えていて、ご本人に会う前に家族が来所され、介護や受診の相談を受け、相談後に自宅へ訪問して対応することもある。
医療機関からの相談では、退院前に医療機関でのカンファレンスに参加することもあり、入院中から関わることで関係機関との連携や支援の継続でき、ご本人も安心感が得られていた。

5.相談支援対象者の内訳(図3)
支援対象者の内訳は、内部疾患(糖尿病、腎臓病、心臓疾患など)が424件と最も多く、次に整形疾患(変形性関節症、脊椎管狭窄症、転倒による骨折など)が365件と多くなっている。以前は整形疾患が多かったが、最近は内部疾患が増えてきている。難病や癌の方の相談もあり、早期からケアマネジャーに繋ぎ訪問看護などを利用する場合もある。認知症の方は、内服管理や生活支援などでサービス利用が必要な場合が多いが、ご本人は「困っていない」ことが多く、サービス利用を拒否することがある。頻回に訪問し信頼関係を築くことが必要で、出張所だけでなく近隣の住民や民生委員などの協力を得ながら対応する場合もある。

6.相談支援内容(図4)
相談支援内容は、介護保険についての相談が一番多く3割を占める。介護保険の申請手続き代行を年間46件行っている。相談や訪問時に介護申請と同時にサービス利用が必要な状態のこともあり、直ぐにケアマネジャーを依頼しサービス利用に繋げる場合もある。平成28年10月から「介護予防・日常生活支援総合事業」が開始されたが、相談者には該当する方がいなかった。
関係機関との連携については、行政機関や北部支援センター以外では、民生委員や医療機関、近年では警察・消防との連携もある。医療機関からは、退院後の見守りや介護保険での住宅改修・福祉用具購入の相談、困った時の地域の相談窓口として紹介されることが多い。医療機関によっては入院期間の制限があるため、退院当日に連絡があったり、介護認定が出ていない状態での退院や介護申請をせずに退院することもあり、退院後に様子を見ながら進めていく場合も多い。
住宅改修や福祉用具購入の相談も多く、年間29件申請手続きをしている。関係機関と連携を取りながら行っている。
実態把握としては、独居高齢者等の見守り訪問や以前対応した方のモニタリングなども行っている。
地域活動としては、既存の活動(いきいき100歳体操やミニデイやサロン・認知症カフェなど)への参加、継続支援や新規利用者への紹介を住民や市社協と協力しながら行っている。今年は、新しく認知症カフェが3ヶ所(医療機関主体が2ヶ所)、いきいき100歳体操が2ヶ所、サロンが1ヶ所開催している。各会場へ行き、介護予防や熱中症・インフルエンザ予防・詐欺予防などの健康講座も実施している。

7.2017年度に向けて
2025年問題に向けて「介護予防・日常生活支援総合事業」が開始され、高齢者の自立支援が進められている。地域ケア会議でも「個」から「地域」の課題を見つけ、地域づくり・資源開発へ繋がっていくように、地域での支え合いのネットワーク構築に向けた活動が求められている。専門職だけの多職種連携・多職種協働にならず、地域の住民が主体に活動が進められるように、出張所としてどう関わっていくのか、地域の一員として日々振り返りながら業務遂行して行きたい。

 

■表1    高知市北部地域高齢者支援センターえのくち出張所概要

開設日 平成3年10月1日 担当地区概要 ( H.29.1.1現在)
スタッフ 保健師1名(ケアマネージャー資格あり) 人口 19.317名
対象者 65歳以上の高齢者 高齢者数 5.758名
担当地区 江ノ口地区(小津・宝町含む) 高齢化率 29.8%
  •  図1 把握ルート
  • 図2 相談支援方法
  • 図3 相談支援対象者内訳
  • 図4 相談支援内容