訪問看護ステーションちかもり

所長 中西洋子

【はじめに】
超高齢化社会に対応した医療・介護の一体的提供「地域包括ケアシステム」の構築や早期退院と在宅医療・在宅ケアの推進が進む中、病気や障害があっても住み慣れた家で暮らしたい・人生の最期を自宅で迎えたいと希望する人が増えている。急性期病院からの早期退院のための院内退院支援強化や、病院からの退院後訪問看護の提供は訪問看護ステーションとの連携が不可欠となっている。入院早期から利用者一人ひとりの生活に寄り添う視点が求められている。

【運営状況】
生活の質の確保を重視して、日常生活能力を維持・回復させ、住み慣れた地域社会で療養する事を目的に訪問活動を行っている。職員は専従NS4.5名・PT2名・OT1名・事務員1名・非専従PT2名・ST2名で運営に携っている。365日24時間連絡・対応体制をとっており、高知市全域を対象としている。

【訪問実績】
実人数月平均86名の利用者に介入した。訪問件数は月平均579件/月(図23)、で推移している。
保険別では、介護保険4:医療保6の割合である(図123)。
新規相談は、居宅介護支援事業所46%に次いで、近森会グループが31%、他院は16%で居宅介護支援事業所からの相談が増加傾向(図4)。
近森会グループからの相談のうち当ステーションを利用するケースは90%であり(図45)、地域連携センターと訪問看護ステーションの連携の成果と考える。
指示元では地域の開業医47%、在宅療養支援診療所は33%であった(図6)。昨年と比較すると地域の開業医からの指示が増加し、在宅支援診療所からの指示は減少傾向である。病院を退院する利用者は、退院時から地域の開業医に繋がるケースが多かった。
疾患別では、呼吸循環器疾患16%・認知症8%で増加傾向、癌ターミナルの利用者は7%と低下している(図7)。心不全で入退院を繰り返す利用者の依頼が増加している。ターミナル後期にホスピス等へ入院する事例や、ホスピス病棟を有する病院には訪問看護ステーションを有していること、看護付き小規模多機能の新設・支援診療所内での訪問看護実施などが低下の原因と考えられる。
介護度別では要支援1・2、要介護1で31%を占め(図8)増加傾向、廃用症候群からの回復や維持・医療依存度は高いが、適度のサービスを利用することで在宅生活を継続することが可能な利用者が増えている。

【本年の取り組み】
医療依存度の高い利用者の在宅療養生活を伝える取り組みとして、医療療養型病院を退院され2名の利用者のフィードバックを行った。療養型病棟の医師や看護師・ソーシャルワーカー・理学療法士が参加し、利用者の望む生活の実現や、生活を支える多職種の関わり・サービスを利用し在宅生活を継続している実態を共有することができた。
自宅に帰りたいが家族の介護負担を心配して、在宅復帰を諦めている患者様が一人でも多く、住み慣れた自宅・地域に帰ることが出来るように、今後もフィードバックの活動を継続することが、訪問看護ステーションの役割である。
母体病院を退院し、当ステーションに繋がった4名の患者様の家庭へ、病棟看護師と退院後訪問看護を行った。在宅療養生活の実際を見る事で、入院時から在宅療養生活を想定した看護の関わり・退院時指導・継続看護の視点を伝えることが出来、今後も継続する必要がある。
昨年に続き、4校40名の看護学生の受け入れ、在宅ケア領域研修・癌看護研修など2か所から20名・医学生や初期研修医5名・作業療法士1名の研修を受け入れた。教育面では在宅ケア領域Ⅰ・癌看護インテンシブ研修・がん性疼痛看護コース研修などに参加し知識を深め共有し、実践することができた。地域活動として障害者自主グループ井戸端会議への参加や、1回/2ヶ月栄田町公民会で開催される医療生協地区会に参加し、ステーションの啓発や健康体操の紹介を行い、地域住民やサービス関係者と顔の見える関係作りに努めた。

【おわりに】
早期退院と在宅医療・在宅ケアの推進が進む中、医療依存度の高い患者様が早期に退院し、自宅で療養するケースが増加することが予測される。訪問看護ステーションへの期待が高まっているが、人材が不足している。高知県では、平成28年度から新卒の看護師を育成する取り組みが行われており、平成29年度は当ステーションも新卒看護師育成予定である。生活と医療の視点をもった看護師を育成できるように母体病院の協力を得て取り組んでいきたい。

  • 図1
  • 図2
  • 図3
  • 図4
  • 図5
  • 図6
  • 図7
  • 図8