大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁植え込み術について

2018年12月

大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁植込み術に関する観察研究(IMPACT TAVI試験)へのご協力について
説明文書

 当院および東京大学医学部附属病院では以下の研究を実施しております。
 この研究は、大動脈弁狭窄症という疾患に対して経カテーテル大動脈弁植込み術(Transcatheter Aortic Valve Implantation; TAVI)を受ける方を対象に、TAVIの現状と予後に関する医師主導型多施設前向き観察研究の説明、ご協力をお願いするという内容です。この説明文書をお読みになり、ご自身がこの研究の対象者にあたると思われる方で、この研究に「自分の情報を使ってほしくない」とお思いになりましたら、遠慮なくご連絡下さい。ただし、既に解析を終了している場合には、研究データからあなたの情報を削除できない場合がありますので、ご了承下さい。
 近森病院では、この研究にご協力される、されないにかかわらず、最善の医療を提供いたします。

【研究の意義】

 大動脈弁狭窄症では、心臓から大動脈への出口である大動脈弁がせまくなることで、心臓に大きな負担がかかります。特に狭心症や心不全、失神などの症状が出現した場合は極めて予後が不良であり、心臓外科手術による治療が必要でした。しかしながら、高齢や心機能低下、重篤な合併症のために心臓外科手術が行えない大動脈弁狭窄症患者さんが多くいらっしゃることがわかり、このような患者さんに対して、カテーテルを用いた人工弁植込み術(TAVI)が欧米諸国ではさかんに行われています。
 日本でも2013年10月からTAVIが導入されましたが、まだまだ症例数は少なく、欧米人とは異なる体格や解剖をもつ、日本の患者さんにおけるデータが限られています。
 そこで本研究では、研究に参加した国内施設においてTAVI治療を受けた大動脈弁狭窄症患者さんを対象に医師主導型の臨床研究を行うこととしました。データの蓄積・解析が進めることで、本邦において、長期予後を見すえたより安全で至適なTAVI治療を確立することを目指します。

1. 研究の目的

 わが国の実臨床における大動脈弁狭窄症に対するTAVI治療の現状を把握することにより、TAVI治療を受ける大動脈弁狭窄症症例の予後規定因子を明らかにし、至適治療を確立することを目的としています。
 本研究は、倫理委員会承認後(2018年11月末頃予定)から最大3年間登録を行い、登録された患者さんは5年間経過をフォローいたします。目標としては、約1000人の患者さんに参加して頂く予定です。

2. 研究方法および研究に参加している間の検査や調査

 この研究は、大動脈弁狭窄症に対して行われた経カテーテル大動脈弁植込み術の現状を観察するもので、通常の診療行為・治療の経過を把握する観察研究という方法を用います。
 本研究に必要な項目は、通常の診療で得られる情報および非侵襲的な検査方法で得られる情報です。

  • ① 年齢、性別、既往歴、お薬などの背景、心臓病の状況
  • ② CT、心エコー、採血結果、心電図の情報
  • ③ 筋肉量や運動機能の簡単な情報(診察時の数分間の身体診察)
  • ④ TAVIの手技に関する情報
  • ⑤ 合併症の発生、予後

通常の検査・治療のほかにご協力いただきたいことがございます。なお、観察期間内に当院へ通院されなくなった場合には、電話でその後の経過についておたずねする場合があります。 研究で得られた情報は、個人の特定ができない形にして、研究事務局(東京大学医学部附属病院内)に送付され、東京大学医学部附属病院および本試験参加施設内でデータ分析されます。

3. 研究結果の公表および研究に関する情報の提供について

 研究の成果は、氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌及びデータベース等で公表します。また、個人的なお問い合わせがあった場合、個人的な結果、または全体の結果(もしくは両方)についてお伝えいたします。また、研究で行った検査の結果、対象患者さんに予期せぬ結果が出た場合、倫理的側面を考慮しお知らせいたします。この研究の実施中に、患者さんの安全性にかかわることや、研究参加を続ける上で重要だと思われる情報が得られた場合には、すみやかにお伝えいたします。結果について知りたくない場合は、研究対象から除外させていただきます。

4. 研究にご協力いただける場合に考えられうる利益および不利益

 この研究の成果が、いますぐ個人の直接の利益になることはありません。該当患者さんが本研究に参加することによりこまやかな観察を行いますので結果として医師が健康状態を詳しく把握したうえで診療を受けられる可能性はあります。また、研究協力によって得られたデータは、今後の心臓病の診断・治療に役立つだけでなく、個別的な医療を推進するうえで利用されます。不利益としては、個人情報や診察・治療の情報が研究目的に利用されることによる情報漏えいの可能性がありますが、この点については十分に配慮いたします。

5. 予測される危険性およびその対応

 この研究は、各病院で行われている通常の治療を調査するもので、身体に及ぼす特別な治療は行いません。研究協力後も、診療や治療は、通常通り行われます。もし本研究に関連する検査、診療により健康被害が生じた場合は、担当医師が適切な診察と治療を行います。その場合の治療は、通常通り患者さんの健康保険を用いて行います。

6. 個人情報の保護に関すること

 この研究では、カルテや記録などから集める情報のプライバシー保護に十分配慮いたします。住所、氏名、生年月日などの個人情報と診療情報は情報管理室のコンピュータに入力後、匿名化されます。これらのデータはインターネットに接続されないコンピュータで厳重に保管されます。匿名化されたデータは東京大学が管理する電子入力システムに登録されます。この電子入力システムには、この研究に参加する近森病院以外の施設からも匿名化されたデータが登録されます。いずれの過程においてもあなたの個人情報が外部に漏れることが無いよう厳重に注意します。電子入力システムに登録された匿名データについては東京大学の管理のもと、東京大学または参加施設で共有され、解析が行われます。データは研究終了から5年が経過した時点ですべて破棄されます。また、調査結果が公表される場合であっても、患者さんの個人情報がほかの人にわかることはありません。また、この研究が正しく行われているかどうかを確認するために、外部の委員会などが、カルテや研究記録を見ることがあります。この研究の結果が、学会や医学雑誌などで公表されることがありますが、ここでも個人が特定されないように配慮いたします。

7. 研究に参加する場合の費用について

 この研究に必要な費用は参加施設の研究費から支出されますが、通常の検査・治療は保険診療で行われ、その診療費は通常の診療と同じように、患者さんの加入する健康保険と自己負担によって支払われます。また、この研究へのご協力に対する金銭的な謝礼や交通費などの支給はありません。

8. 研究への協力の任意性と撤回の自由

研究に参加したくない場合は、遠慮なくお断りください。また、研究に参加しなくても、今後の治療において不利益になるようなことはありません。
 また、途中でやめたい場合は、いつでも取り消すことができ、その場合は診療記録などがそれ以降に研究目的に用いられることはありません。ただし、すでに研究結果が論文などで公表されていた場合などのように、調査結果などを破棄することができない場合があります。

9. 倫理的配慮について

 この研究は、文部科学省、厚生労働省による「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づいて実施されます。また、この研究は、近森病院倫理委員会で研究計画書の内容および実施の適否等について、科学的および倫理的な側面から審議されたうえで承認され、病院長の実施許可を取得したものです。研究は承認された研究計画書に従って行います。また、研究計画の変更、実施方法の変更が生じる場合には適宜審査を受け、安全性と人権に最大の配慮をいたします。

10. この研究に関する研究組織

研究代表者:小室 一成  東京大学医学部附属病院 循環器内科
金子 英弘  東京大学医学部附属病院 循環器内科

【共同研究機関】※注 以下は決定ではなく、検討中の施設をふくみます

手稲渓仁会病院(林健太郎)、旭川医科大学(竹内利治)、札幌医科大学(國分宣明)、山形大学(渡辺昌文)、群馬県立心臓血管センター(山下英治)、獨協医科大学(那須野尚久)、自治医科大学(高橋政夫)、自治医科大学附属さいたま医療センター(藤田英雄)、筑波大学(星智也)、聖路加国際病院(小宮山伸之)、三井記念病院(田邊健吾)、東京女子医科大学(山口淳一)、北里大学(阿古潤哉)、聖マリアンナ医科大学(明石嘉浩)、横浜市立大学(日比潔)、名古屋大学(田中哲人)、京都府立医大(全完)、大阪医科大学(星賀正明)、和歌山県立医大(松尾好記)、奈良県立医大(斎藤能彦)、神戸大学(大竹寛雅)、徳島赤十字病院(細川忍)、徳島大学(佐田政隆)、愛媛県立中央病院(岡山英樹)、近森病院(入江博之)、山口大学(岡村誉之)、九州大学(向井靖)、久留米大学(上野高史)、佐賀大学(野出孝一)、長崎大学(前村浩二)、熊本大学(辻田賢一)、熊本済生会病院(坂本知浩)、鹿児島医療センター(片岡哲郎)

11. 研究資金源および利益相反

 本研究に関する必要な経費は、東京大学運営費交付金および研究参加施設による研究費でまかなわれており、研究責任者、研究分担者は、研究遂行にあたって特別な利益相反状態にはありません。

12. 研究から生じる知的財産権の帰属

 本研究の結果として特許権などが生じる可能性がありますが、その権利は東京大学、共同研究機関及び研究従事者などに属し、皆様はこの特許権などを持ちません。また、その特許権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。

13. 相談窓口

 この研究に関してお聞きになりたいことがございましたら、以下の相談窓口にお問い合わせください。

(相談窓口)
東京大学医学部附属病院
循環器内科
金子 英弘
〒113-8655
東京都文京区本郷7-3-1
TEL. 03-3815-5411(内線37167)
FAX. 03-5800-9171