多職種による病棟常駐型チーム医療

国民衛生の動向・厚生の指標
2016/2017(増刊・第63巻第9号)P.231 掲載
 一般社団法人 厚生労働統計協会
2016年8月発行

  

多職種による病棟常駐型チーム医療

  

社会医療法人近森会 近森病院
院長 近森 正幸

 
  医療の高度化と高齢社会の到来により、重症で手間のかかる高齢患者が増え業務量は膨大となり、急性期病院では医師をはじめスタッフの労働過重が問題となっている。近森病院では病棟常駐型チーム医療を行い、医療の質と労働生産性を高め、勤務環境も著しく改善している。

 DPCによる一日包括払いでは「患者を早く治して早く家へ帰す」という付加価値を売るようになり、必要な業務をすべて行いアウトカムを出すことが求められるようになった。アウトカムの出るチーム医療のためには、1.各専門職のコア業務に絞り込み質を上げ患者数を増やし、単価を上げ人件費増の原資を出す。2.業務の標準化がなされルーチン業務にすることで、膨大な業務を安全、確実に行い、効率よく処理することができる。3.それぞれの職種の視点で患者を診て判断し、介入し経験知を積むことで、専門性が上がり医療の質が向上する。④電子カルテに載せるか、一言、二言の情報交換で情報共有することで、リアルタイムに効率的に介入できる。リスクの高い業務処理のためには、カンファレンスですり合わせして情報を共有する質の高い情報共有が必要となる。

 従来の医師、看護師中心の少数精鋭の医療では、チーム医療のために多職種が週に一回病棟に集まり、医師が医学的に患者を診て指示を出し多職種はなにも疑わずに業務を行っている。一方、近森病院で行っている多職種による多数精鋭のチーム医療の多数精鋭は、多くの医療専門職が病棟に常駐し、それぞれの視点で患者を診て判断し、患者に介入する、自立、自動することを示している。全人的に診ることから、医療の質は高く、それぞれが自立、自動し業務処理能力も高いことから、労働生産性も高くなる。前者は医師中心の従来のピラミッド型組織であり、後者は多職種によるフラットな組織となる(図1)。看護業務も膨大となり高度化したため、従来の病棟業務はすべて看護師が行うという伝統的な看護では対応できなくなり、病棟常駐型チーム医療を行い看護師の業務を看護というコア業務に絞り込み、多職種に権限を委譲し業務を代替することで医療、看護をチームでやる時代になった(図2)

 業務量が膨大となり、アウトカムが求められる時代を迎え、医師、看護師中心の少数精鋭の医療では対応できず、病棟常駐型チーム医療を行うことで病院経営を改善し、医師、看護師ばかりでなく多職種の勤務環境の改善といきいき働くやりがいを高めることができる。

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    図1

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    図2